恋するオトメは超無敵っ!

 その瞬間。
 ジャンピングばばあは、勢いよく、橋の柵の上に立つわたしに、体当たりを食らわせてきた。

「きゃあ!」

 跳ね飛ばされたわたしは、思わず、悲鳴をあげる。

 ヤバい!
 橋の下の川までは、数メートルもの高さがある!

 スローモーションのように大きく弧を描きながら、わたしは、そんなことを考えていたけれど。
 幸いなことに、わたしは橋の外ではなく、内側の歩道に弾き飛ばされた。
 それでも、勢いがあったから、打ち身を覚悟で体を丸める。

「凛音!」

 翔くんの声がしたかと思うと、わたしは、翔くんに抱きかかえられていた。
 ぼんやりと顔をあげると、のぞきこむ翔くんの瞳が、大写しで見える。

 ああ、そうか。
 飛ばされたわたしを、近くで待機していた翔くんが飛びつくように、全身を使って受けとめてくれたんだ。

「凛音、大丈夫か?」

 ぶつかった衝撃は、大きかったはずだ。
 けれど、翔くんの腕の中に転がりこんだわたしは、かすり傷もない。

 受けとめてくれた翔くんのほうこそ、わたしの頭で胸をぶつけなかっただろうか。
 橋の柵で、背中を打たなかっただろうか……。

「わ、わたしは、だ、だいじょうぶ……」
「無茶をするな」

 翔くんの、ホッとしたような声を聞いて。
 わたしは、シュンとなって返事をした。

「はい……」
「でも、おまえ、格好よく見せようだなんて、思っていたんだろう? 柵の上、のぼる必要は、あったのか?」

 とたんに、翔くんに睨まれて、わたしは首をすくめた。

「――ごめんなさい」

 せっかくだから、いいところを見せようとしました。
 反省しています。

 わたしが素直に謝ると、翔くんは表情をやわらげた。

「無理をするなよ」

 翔くんのステキな顔を、こんな近くで見つめている。
 その状況に、わたしは、ハッと気がついた。

 お姫さま抱っこだなんて。
 すごいプレゼントです!
 ご褒美です!
 そんなギフトに報いるために、わたしは全力で頑張るのです!

 なんて思った瞬間に。
 冷たい目に戻った翔くんに、わたしは地面に転げ落とされた。