恋するオトメは超無敵っ!

 わたしは、そのまま駆けて、おばあさんのあとを追いかけた。
 そして、さんざん走りまわされているあいだに、わかってきたことがある。

 どうやら、ジャンピングばばあは、あの橋を中心に、半径八百メートル以内を跳ねまわっているということだ。
 なぜなら、同じところをまわるので、いいかげんにわたしも、このあたりの景色を見慣れてきたからだ。

 それなら、勝機はある。
 わたしと同じように、おばあさんを追いかけまわせない翔くんは、橋のそばで、待っていてもらったらいいんだもの。

 おばあさんを追いかけながら、わたしはAIナビに向かって叫ぶ。

「HAIナビ! サコ爺に、翔くんは橋のそばで待機してって伝えて!」
『了解』

 翔くんの連絡先を知らないから、サコ爺に伝言だ。
 今回は仕方がない。
 なので、サポートをスムーズに行えるようにって理由で、翔くんの連絡先をゲットしなきゃね!

 ごほうびとも言えそうなそのアイデアを胸に、体力でお助け係のわたしは、おばあさんを橋へ追いこむべく、スピードをあげた。



 ぐるぐる円を描くように、ジャンピングばばあが、橋の近くへ戻ってきた。
 こんな都市伝説の人たちは、疲れることがないんだろうか。
 まったく、飛び跳ねる高さが衰えない。

「よいしょ!」

 行儀が悪いけれど、そうも言っていられないよね?
 見通しをよくするために、わたしは茶色い橋の柵の上に立った。

 橋の下、川のそばで跳ねるおばあさんに、わたしは的を絞る。
 両手を前に突きだし、親指同士、人差し指同士をくっつけて、三角の形を作った。

 うん。
 恐怖心は、ない。
 九字の呪文の効果は、続いているってことだ。

 ジャンピングばばあが、わたしに気づく。
 そして、わたしめがけて一直線。
 きっとわたしに、体当たりを食らわせる気だ。

 ナイスタイミング!
 ちょうどいい的じゃん!

 いける!
 いけるはず!
 食らえ、言霊の術!

「捕縛!」

 わたしは、思い切り言葉を吹きこんだ。



 けれど――なにも起こらなかった。

 しまった!

 マズい。

 術の失敗だ!

 どうして?

 わたしのなかで、焦りがでたから?