恋するオトメは超無敵っ!

 ふいに、ジャンピングばばあが止まった。
 道路の上にとどまって、追いかけていたわたしのほうへ、くるりと振り返る。

「なんじゃ、ガキの、しかもオンナには、興味がないんじゃがなぁ」

 そう言って、わたしを値踏みするようにじろじろと眺めた。

 そんなジャンピングばばあの前に、わたしは立ちどまる。
 このくらいなら、息は乱れない。
 精神統一で、体力も爆あがりしているからね。

 さて、どうすればいいかな。
 ここでつかまえて引きとめていたら、翔くんが追いつくだろうか。
 だったら、ここは――恋バナで、意気投合するべきだろうか?
 だって、若い男の子の待ち伏せをしていたくらいだものね。

 わたしは、とびっきりの笑顔を向けて、ジャンピングばばあに声をかけた。

「ねえ、おばあさん。その、あの大学の学生さんで、気になる男の人がいるのかな? 好みの学生が……って言っていたものね。ひょっとして、照れ隠しかな? それで、あんな言い方しちゃったかな?」

 なんて、シナを作りながら言ってみる。
 なのに。

「うるさい子だね! あそこは狩り場だって言っただろう? わかんない子だね! ハナたれの小むすめはさっさと帰れ!」

 そう言い捨てると、ジャンピングばばあは、ぴょんと跳ねた。
 そのまま、高笑いをして、勢いよく跳び去っていく。

 うっわぁ!
 ムカつく!

 わたしは、その場で地団駄踏んだ。
 こんな姿を、翔くんに見られなかったのが幸いだ。

 ええ、わかっていましたとも。
 女子力の低いわたしには、たとえ都市伝説のジャンピングばばあ相手でも、恋バナなんてできないってことを。

 おのれ!
 絶対につかまえてやるんだから!