恋するオトメは超無敵っ!

「しかし、どうするかな? どのへんで、鬼ごっこを終了して、都市伝説の花子さんを斬り(はら)うか。方法とタイミングが、なぁ……」

 髪をくしゃりとかき乱しながら、困った表情の翔くんに顔を向けて、わたしもうなずいた。
 そして、念のために花子さんの居場所を正確に確認しようと、コンピューターに声をかける。

「HAIナビ! 花子さんは、いま、どのあたりにいるかな?」
『花子さんは現在、図工室の前です』
「え? 図工室の、前?」

 そうつぶやきながら、わたしは、うっかり目を離していた図工室の入口へ、急いで振り返る。
 真後ろに、ゆらりと花子さんが立っていた。

 鼓動が、どくんと、大きく打つ。
 不意打ちは、やっぱり怖くて、心臓に悪い。

「あ~。わたし、花子さんにタッチされちゃったかな? 次は、わたしが鬼だよね~」

 頭をかきながら、腰をかがめて花子さんに笑みを浮かべる。
 すると。

「――」
「え?」

 花子さんの口が、なにかを、伝えようとしてきた。

「えっと。なんて言ったのかな?」

 わたしは、花子さんの前にしゃがんだ。
 目線の高さをそろえて、花子さんの顔をのぞきこむ。
 わたしの目の端で、翔くんが警戒したように、刀の(つか)に手をそえるのが見えた。

「あ」

 花子さんが、ゆっくり口を開けた。
 空気が、一気に張りつめる。
 その中で、花子さんは、一文字ずつ、言葉をつづった。

「あ・そ・ん・で・く・れ・て・あ・り・が・と・う」
「花子さん……」
「た・の・し・か・っ・た」

 そして、花子さんはわたしの前から、翔くんのほうへ顔を向けた。
 そろそろと、翔くんのほうへ近寄っていく。

 ――そうか。
 花子さんは、知っているんだ。
 翔くんの刀が、実体化した都市伝説を斬り祓うっていうことを。

 自分を消滅させる刀だってことを。