恋するオトメは超無敵っ!

「ちょっと待ってぇ。だったら、あたしが行くんだもの!」

 どうして、この会話がわかったのだろうか。
 彼の妹ちゃんである阿万音が、廊下の向こうから駆けてきて、ぴょんとわたしと翔くんのあいだを割るように、飛びこんできた。

 あ~!
 もう!
 やっぱり、この妹ちゃんは天敵だわ。

 せっかくのチャンスをつぶされて、とても残念なわたしは、彼のそばから離されながら、唇を尖らせる。
 でも翔くんは、とたんにやさしげな笑みを、阿万音に向けた。

「ばーか。おまえを、あぶない目にあわせられるかよ」
「でもぉ。女の子のお手伝いが、必要なんでしょう?」

 必殺、妹ちゃんの上目づかい。
 けれど、サコ爺が口を開いた。

「そうですね。私の意見を言わせてもらってもよろしいですか?」

 そう前置きをしてから、サコ爺は、翔くんと妹ちゃんに向かって言葉を続けた。

「阿万音さんは血筋を考えると、どちらかといえば、翔くんと同じで刀を持つ側だと思っています。なので、サポートや――おとりと考えたら、凛音さんのほうが適役ではないでしょうか」

 おとり?

 いえいえ、ものは言いようってやつだよね?
 本当に妹ちゃんがかわいいから、危険な目にあわせたくない。
 でも、わたしのほうは少々危険な目にあっても頑丈そうだって、思ったわけじゃないよね?
 ただ単純に、わたしを選ぶために、そう言ってくれているだけよね?
 ね?
 サコ爺?!

 翔くんは、しばらく考える顔をしてから、小さくうなずいた。

「――よし、わかった。凛音、おまえをおとりで、連れていってやる」
「え~。阿万音、お兄ちゃんと一緒にいきたかったなぁ」

 ふくれっつらになった妹ちゃん。
 対して、わたしは心のなかでガッツポーズ。

 サコ爺、ナイス、アシスト!
 今回は、堂々と一緒にいられるわ。
 おとりくらい、どんとまかせて!
 これからも、わたしは役に立つって、見せつけちゃうんだから。