ー☆★☆ー
雲ひとつない、あけぼのの空。
朝日で目覚める者がいるのなら、その者は良い目覚めだと思うのだろう。
そんな心地よい朝に、似つかわしくない怒号が響き渡る。
「オラァ!!そんなので疲れているんじゃねぇぞ!!」
「は…はいぃぃぃ!!ししょぉぉぉ!!!」
言われた少女は、ひーひーしながら返事をする。
「ったく。生ぬるい生ぬるい。基礎ができてからの応用。基礎がなっていなくてどうする。」
腕を組み眉を顰めた花韮が、独り言のように呟く。
その呟きを、隣に立つ女性が回収する。
「そうか?私からしたらこんな師匠嫌だと逃げ出さないあの子の忍耐力に怯えているよ」
「ベルギアは相変わらずだな。これで厳しい?怠けたことを言うな。それに、花幻郷最強になると言ったのはあいつだ。それにはそれ相応の修行が必須だ。」
ベルギアと言われた女性は苦笑する。
ベルギア。本名をハーデン・ベルギア。彼女は、花韮の旧友だ。
「それもそうだがな。死んでからは遅いぞ?」
「あいつがそう易々と死ぬと思うか?」
「フッ。それは思わんな」
二人はそう言い合いながら、懸命に走り続ける少女__ちゃんはちを見つめる。
「しかし、回避力があるな。ノールックで岩を避けれているぞ」
「あいつにもあるからな。固有能力。」
花韮はちゃんはちを見つめながらそう言う。
固有能力とは、煙花散花に住むもの全てに一つだけ与えられる能力。健闘系と平和系があり、立場種族形関係なしに誰にだってあるものだ。それこそ畑作業している農家にも固有能力はある。
しかし、能力の強弱に関係なく、自身の固有能力を理解し自由自在に操るのは相当な鍛錬を組まないと無理だ。
脳内にあなたの固有能力はこれですなんて出てくるはずはない。まずは自覚して特性や発動条件、発動時間などを徹底的に調べなければならない。
別にそこまでしなくてもいいものはいい。技が暴発しても自業自得だ。それに固有能力は多くが戦闘系である。稀に戦闘系ではない平和系の固有能力も芽生えるが、数十年に一度の確率でしか芽生えない。平和系ならわかるが、農家が戦闘系の固有能力をわざわざ使うわけがない。
故にそもそも固有能力を使うものは少ないのだ。
しかし、戦いの世界においてはそうではない。
戦闘系でも平和系でも、自身の固有能力への理解を深めてそれを自分の力に変える。
固有能力はいわゆるバフだ。バフを使って戦いを有利に進めていく。
固有能力を理解し自在に操れるなら上出来だ。平和系の固有能力でも極めて戦闘に使うことを決めたのなら、それだけで戦場に立てる。
「そうなのか」
「固有能力はこの世界に来たものには必ず存在する。それぐらいお前でも知っているだろう?」
「まぁな。で?ちゃんはちの固有能力はなんだ?」
ちゃんはちを追うために、二人はゆったり歩きながら会話をする。
「平和系のものらしい。あいつから断片的にしか聞いていないが、半径二キロメートルを三人称視点から透視できるものだそうだ。」
「攻撃系ではないのは珍しいな」
「…攻撃系ではないのは確かに珍しいが好ましいだろう。…あいつには、私のようになってほしくないからな。」
「心外だな」
「お前のものは確かに平和系だが、攻撃に変えるかどうかはお前が決めるものだ。」
「けれど、私は攻撃にすることを選んだぞ」
「憐んでいるようにしか思えない。」
「そうか」
ハーデンは、ちゃんはちを見つめる。
自分の言ったことを、直向きに叶えようとしている。
そんなちゃんはちを、ハーデンは尊敬しているのかもしれない。
自分はそうではないから。
「無類。もう花幻山での修行はやめさせろ」
「なぜだ。」
「ちゃんはちにこの修行は必要ではないからだな」
「…………………」
花韮は、熟考する。
そんな花韮を見て、ハーデンは呟く。
「ま、考えなくてもお前はそうさせるさ」
二人が会話をしている間も、ちゃんはちは進んでいく。
しかし、いややはりと言うべきか。
花幻山は自然に生成されたものだ。
川の一つや二つ、あるに決まっている。
目の前にある湖のような川に、ちゃんはちは絶望する。
花韮はため息を吐き、叫ぶ。
「ちゃんはち。修行は終わりだ。」
ー☆★☆ー
雲ひとつない、あけぼのの空。
朝日で目覚める者がいるのなら、その者は良い目覚めだと思うのだろう。
そんな心地よい朝に、似つかわしくない怒号が響き渡る。
「オラァ!!そんなので疲れているんじゃねぇぞ!!」
「は…はいぃぃぃ!!ししょぉぉぉ!!!」
言われた少女は、ひーひーしながら返事をする。
「ったく。生ぬるい生ぬるい。基礎ができてからの応用。基礎がなっていなくてどうする。」
腕を組み眉を顰めた花韮が、独り言のように呟く。
その呟きを、隣に立つ女性が回収する。
「そうか?私からしたらこんな師匠嫌だと逃げ出さないあの子の忍耐力に怯えているよ」
「ベルギアは相変わらずだな。これで厳しい?怠けたことを言うな。それに、花幻郷最強になると言ったのはあいつだ。それにはそれ相応の修行が必須だ。」
ベルギアと言われた女性は苦笑する。
ベルギア。本名をハーデン・ベルギア。彼女は、花韮の旧友だ。
「それもそうだがな。死んでからは遅いぞ?」
「あいつがそう易々と死ぬと思うか?」
「フッ。それは思わんな」
二人はそう言い合いながら、懸命に走り続ける少女__ちゃんはちを見つめる。
「しかし、回避力があるな。ノールックで岩を避けれているぞ」
「あいつにもあるからな。固有能力。」
花韮はちゃんはちを見つめながらそう言う。
固有能力とは、煙花散花に住むもの全てに一つだけ与えられる能力。健闘系と平和系があり、立場種族形関係なしに誰にだってあるものだ。それこそ畑作業している農家にも固有能力はある。
しかし、能力の強弱に関係なく、自身の固有能力を理解し自由自在に操るのは相当な鍛錬を組まないと無理だ。
脳内にあなたの固有能力はこれですなんて出てくるはずはない。まずは自覚して特性や発動条件、発動時間などを徹底的に調べなければならない。
別にそこまでしなくてもいいものはいい。技が暴発しても自業自得だ。それに固有能力は多くが戦闘系である。稀に戦闘系ではない平和系の固有能力も芽生えるが、数十年に一度の確率でしか芽生えない。平和系ならわかるが、農家が戦闘系の固有能力をわざわざ使うわけがない。
故にそもそも固有能力を使うものは少ないのだ。
しかし、戦いの世界においてはそうではない。
戦闘系でも平和系でも、自身の固有能力への理解を深めてそれを自分の力に変える。
固有能力はいわゆるバフだ。バフを使って戦いを有利に進めていく。
固有能力を理解し自在に操れるなら上出来だ。平和系の固有能力でも極めて戦闘に使うことを決めたのなら、それだけで戦場に立てる。
「そうなのか」
「固有能力はこの世界に来たものには必ず存在する。それぐらいお前でも知っているだろう?」
「まぁな。で?ちゃんはちの固有能力はなんだ?」
ちゃんはちを追うために、二人はゆったり歩きながら会話をする。
「平和系のものらしい。あいつから断片的にしか聞いていないが、半径二キロメートルを三人称視点から透視できるものだそうだ。」
「攻撃系ではないのは珍しいな」
「…攻撃系ではないのは確かに珍しいが好ましいだろう。…あいつには、私のようになってほしくないからな。」
「心外だな」
「お前のものは確かに平和系だが、攻撃に変えるかどうかはお前が決めるものだ。」
「けれど、私は攻撃にすることを選んだぞ」
「憐んでいるようにしか思えない。」
「そうか」
ハーデンは、ちゃんはちを見つめる。
自分の言ったことを、直向きに叶えようとしている。
そんなちゃんはちを、ハーデンは尊敬しているのかもしれない。
自分はそうではないから。
「無類。もう花幻山での修行はやめさせろ」
「なぜだ。」
「ちゃんはちにこの修行は必要ではないからだな」
「…………………」
花韮は、熟考する。
そんな花韮を見て、ハーデンは呟く。
「ま、考えなくてもお前はそうさせるさ」
二人が会話をしている間も、ちゃんはちは進んでいく。
しかし、いややはりと言うべきか。
花幻山は自然に生成されたものだ。
川の一つや二つ、あるに決まっている。
目の前にある湖のような川に、ちゃんはちは絶望する。
花韮はため息を吐き、叫ぶ。
「ちゃんはち。修行は終わりだ。」
ー☆★☆ー
