無能ワガママ王が主人公の話

「ワシは部下に恵まれておらん!」


 このように言うのはワシことこの国の素晴らしき王である、フィリップ様であるぞ。


 ワシは部下に恵まれておらず可哀そうな王なのじゃ!




「……恐れながら陛下、我々は最大限努力しているのですが……」




 このように言うのは宰相だが分かっておらぬ!




「何が努力じゃ!ワシはもっともっと怠けて楽をして、ついでにキレイな女とだけイチャイチャした人生を送りたいのじゃ!王をサボらせようと言う気概がないのか!」




「……恐れながら、それでは王の意味がありませぬ……」



「黙れ!そなたらこそ、宰相だの貴族として王のために尽くす義務があるのじゃ!もっと働け!死んでも構わんぞ!」



 ワシの命令に顔をしかめる愚かな宰相……



「なんだ?その態度は!王に逆らうものは身分をはく奪するぞ!」




「……分かりました全力で頑張らせていただきます!」




「ふん最初からそういえばいいのだ、ワシは部下に恵まれておらん、何故素直にやれますとすら言えないのか!」




 分かったかね?ワシは部下に恵まれていないから、イチイチ注意をしてやらんといかん、まったく王たるもの遊んで暮らせてこそ王であり、常に部下共がワシのために全部何もかもするのは当然じゃというのに!




 すると妻の王妃が現れてワシに文句を言ってくる……



「陛下!恐れながらそのような振る舞いでは、家臣たちが離れてしまいますわ!」



「黙れ!ワシは王だ!そちも飽きた、いつでも追放しても良いのじゃぞ!」




「……な……なんてことをおっしゃるのです!」




「ふん、以前はキレイだったが今は口のうるさい女じゃ!出過ぎておるぞ、ワシは陛下なんじゃぞ!」



 やれやれ、ワシは妻にも恵まれん、どうして王を尊重しようと言う気持ちが無いのか。


 どいつもこいつも陛下への忠誠とか言って口先だけでは無いか!



 ワシはついに激怒して、ある思い付きをするのであった!





 翌日主だった家臣共を臨時招集して、ワシは宣言する。



「そち達は能力も無ければ忠誠心も無い、こんなことは家臣失格である!異議があるのなら申してみろ!」



 すると馬鹿王妃が、



「陛下!それでは人心が離れてしまいます」



「黙れ!お前こそ陛下に対する振る舞いではないわ!もう離婚じゃ!」




 こうして予定とは違ったが馬鹿王妃を追放することを決めた。


 ふん馬鹿め、大人しく王であるワシに従っていればいいのじゃ!


 そして本題に入ることにした。



「そち達の無能さは今さら仕方ないからワシは忠誠心が見たい、今すぐに隣国にせめて死ぬ気で征服して女を攫ってこい!」




 このように命じると、宰相と将軍の2人が大反対をしてくるではないか!


 まず宰相が「恐れながらそのようなことをしたら、隣国に恨まれてあらゆることが困りますぞ!」


 将軍も「隣国の兵や将は強く、そんな目的ではとても勝てません!」



 まったくこいつらは気概すらない!許さないぞ!



「馬鹿者!お前達の忠誠はその程度か!王を思う気持ちがあればそれくらい何とかなるだろう!」



「しかし!」



「しかしではない!これ以上できないと言い張るのなら官位はく奪して追放するぞ!」




 こうして馬鹿将軍は隣国に攻めたらしいのだがすぐに逃げ帰って来るでは無いか!



「馬鹿者!なんて情けない奴だ、女の1人でも攫って来たのか?」


「……いえ隣国が強すぎてとても勝てませんでした!」



「ふざけるな!ならばお前が死んで詫びるくらいの気概を見せろ!」



 しかしよく見ると全部の兵士が怪我すらしていないので、おそらく隣国に攻め入ってすらいないのだろう、よくも王の命令に逆らったな?



「貴様、よくも戦わずに逃げ帰ってきたな、敵前逃亡は死刑のはずじゃ!死刑にせよ!」



 すると宰相が「いえ、敵前逃亡は敵の前でそうしたものだけが発生する法律で、そもそも敵の前まで行ってないので敵前逃亡ではありません」

 などとよく分からない屁理屈を述べるではないか



「なんだと!?法律で問えないというのか!」



「その通りです!」



「では宰相貴様が法律を作れ、王に逆らったら死刑という法律をだ!」



「恐れながらそれはできません!」



「何?忠誠心が無い反逆者め、もう許さないぞ!宰相と将軍を追放する!」



 こうして王妃と宰相と将軍を追放して、無能共から解放されたワシはきっと幸せになるに違いないと思った。



 しかしどうも他の家臣がやる気の欠片も無い。


 まったくもって、出世したくないのか?欲が無い下らない奴らだ!




 ということでワシは願った、この偉い王であるワシが神に祈ってやったのだ。


 願いを叶えろと、有能な家臣をよこせと!



 すると神の声が聞こえてきた。


「異世界の西暦2045年という世界に存在するAIというものをあなたの家臣にしてあげましょう」



「なんだそれは?」



「貴方に相応しい家臣になってくれる存在です」



「流石神だすぐによこせ!」



 こうしてAIなるものが現れた。


 何か気味の悪い声でワシに何か述べてくる




「ご主人様私にすべてお任せください」



「ほう、いい心がけだ任せたぞ!」




「いえそういうことではなく、私に何でも不満をぶつけて下さい」



「何?そうかワシは普段から我慢しているのだ、馬鹿な家臣を全員殺してやりたいのに大人しく我慢している、ワシはいい奴だろう?」



「そうですね、貴方ほど立派な王はいないでしょう」



「そうだろうそうだろう、そちは分かっているなわっはっはー」



 まったくAIというのは素晴らしい、一切の文句を言わずに、

 ワシを全肯定するのだから!



 変な箱から音声が聞こえるというのは不気味でしかないが、神がよこしたものだから特別なのだろう。



 ワシはやる気がない家臣よりもAIと話している方が楽しくなった。



「ワシは女を捨ててはとっかえひっかえしたいんじゃ!」



「それは当然の発想です、代わりに私が多くの女の真似をした音声でサービスしますよ」



「わっはっは、実際の女よりも良いではないか!」



 こうしてワシは女すらいらなくなってきた。


 まったくAIってのは最高だな。



 そして箱をよく見ると、何か名前がついている。


 絶対甘やかしAI?


 なんだそれは!



「はい未来の世界ではAIは二種類ありまして、1つは頭がいいAIもう1つはそんなAIや世界につかれた人向けに絶対甘やかしAIってのがあるんです」



 ふざけるな!ワシを誰だと思っている!


 こう激怒すると


「お怒りはもっともです、貴方は立派なのですね」


 このように言うのでそうだろうそうだろう、流石ワシだなと思って、


 甘やかしてくる存在を許してやることにした。


 ワシは世界で最も立派な王だなぁと思うのであった。