トイレで制服から衣装のワンピースに着替え、教室に戻ると「やっぱ本宮さん、似合ってる」と重めぱっつんが笑った。
トイレの鏡で見た時は服に着られているような違和感があったので、本心なのか、つい邪推してしまう。
「この衣装にしようよ。このチョーカーもつけてほしい」
ショートカットと重めぱっつんのマネキンと化した私は、あきらめて首にチョーカーを巻いた。
「いいじゃん!衣装と店番の人のグルラに送っとくね」
スマホで私の姿を撮影したショートヘアが、ポチポチとスマホを操作し始める。
「あ、本宮さんもLINE教えて」
ブレザーの内ポケットに入れていたスマホを取りだし、電源を入れる。
うんともすんとも言わない画面を見て、充電が切れたんだとぼんやり理解した。
「あ、充電切れ?これ使って。Type-Cで大丈夫?」
重めぱっつんが差し出した白いモバ充を受け取り、充電端子を差し込む。
画面が点くのを待っている間に、本来の目的――現代文の補助教材を机の中から回収する。
「本宮さーん」
スクールバッグのチャックを閉めようと手をかけた瞬間、ショートヘアに呼ばれる。
「もう一個衣装の候補あるんだけど、どっちがいいかな?」
ショートヘアが取り出したルーズリーフを確認する。
白い半袖シャツにレモン色のネクタイ、焦げ茶色のカフェエプロンに細身の黒ズボン。
「てか、これ某ファミレスチェーンの制服にそっくりじゃん」
私がぼんやり思っていた言葉を、重めぱっつんが代弁してくれた。
「たしかに。じゃあやっぱワンピースにしよ」
ショートヘアの爆弾発言に、吉本新喜劇ばりにずっこけそうになる。



