My Taste Love ~レモネードの純愛~


学校に戻って昇降口で靴を履き替えて、2年Ⅲ組のある3階に向かう。

階段を上がっていくと、ボリュームつまみをひねったみたいに吹奏楽部の演奏が大きく聞こえてきた。

吹奏楽バージョンのJ-POPをBGMにして、まだ明かりがついている2年Ⅲ組の扉を開ける。

「あ、本宮さん!」

手芸部の女子生徒2人が一斉に私に視線を向ける。

「レモネードスタンドの接客用の衣装考えてたんだけど、本宮さんはどう思う?」

目と鼻の先にずいっと白い紙を押し付けられ、私はそれを受け取ってさっと目を通す。

裾に白いレースが施された、袖がシフォンになっているレモン色のミニ丈ワンピースに、フリルたっぷりの白いエプロン。

ワンピースの襟もとには黒いリボン、足元は白いニーハイに厚底の黒ローファー。

「あと、レモンの飾りつけた黒いチョーカーもあるから」

髪が短い手芸部女子が黒いサテン生地のリボンをひらつかせ、その隣の重めぱっつん女子が透明の小さなレモンの飾りを揺らす。

「そうだ、本宮さん。これ、一回試着してほしいんだけど。」

そう言って重めぱっつんがトートバッグから取り出したのは、襟付きのミニ丈ワンピースだった。

「165㎝くらいの人にぴったりだから、本宮さん着れるんじゃない?」

ほら、私はこんなだからとショートヘアが立ち上がると、隣の重めぱっつんも立ち上がった。

確かにショートヘアは私よりも小柄だし、重めぱっつんは私よりもかなり背が高い。

重めぱっつんが着られないのはわかるけど、大は小を兼ねるでショートヘアが着ればいいのに、と心の中で毒づきながら「着てみるね」と何とか笑った。