「最悪…」
1時間に1本の帰宅の足を逃した私は、ホームで盛大なため息をついた。
高校の最寄り駅周辺は、寂れたコンビニと、販売しているかどうかすら怪しい自動販売機くらいしかない。
ロータリーに置かれた3つのベンチの真ん中にどかっと座り、スマホを取り出してInstagramを流し見していると『充電残量が少なくなっています』という表示が画面に躍り出た。
スマホの神様に嫌われているのか、と言いたくなるほどのタイミングの悪さにため息をつく。
私は手持ち無沙汰に歩いて自動販売機の前に向かった。
一応『販売中』のランプがついているが、ドリンクのラインナップが絶妙に古い。
緑と黄色と黒の水玉模様の缶ジュースや、白と青のカルピスもどきみたいな乳飲料。黄色いモワモワに水色という、微妙に食欲が失せる配色のレモンソーダ。
麦茶とかカルピスとかないのか、とため息をつきたくなるのをこらえる。
私は最悪なラインナップたちの中から一番マシそうなレモンソーダのボタンを押した。
ペットボトルのふたを開けて、中身を口に運ぶ。
「あ」
宿題になっていた現代文の補助教材を持って帰るのを忘れたことに気づいた。明日の一限目は現代文なので、家でやらないとまずいだろう。
もう一度レモンソーダを口に含む。無駄に甘ったるい微炭酸が私の舌の上ではじけた。



