「そう言って一回も遊びに来てくれないじゃ
ーん。仕事ばっかりじゃなくてたまには相
手にしてねー!
ゼンさんが来てくれるなら、仕事頑張っち
ゃうのに」
ゼンという男は、笑顔を貼り付けたまま女たちに手を振ると踵を返し、また繁華街の奥に向かう。
手を挙げられた女たちは、2人で顔を見合わせゼンという男と話せたことを自分たちの店の女の子たちに自慢しようと話し、満足気に店の中に戻っていった。
その会話はゼンの耳にも入ったが、ゼンは一瞬で笑顔の仮面を剥がし無表情に戻り先ほどと同様に奥へと進んでいく。
「ゼンさん相変わらずモテますね〜
周りを見てくださいよ〜
女どもの熱い視線を。
たまには、遊んで行ってもいーんじゃない
っすか〜?
仕事ばっかりしてる間にじじいになっちま
いますよ〜。」
茶化すようにニタニタ笑みを浮かべながら、ポケットに手を突っ込み気だるそうに歩いてくるのは、同じく青山組の組員の橘 龍輝だ。
一度ゼンに目をつけられれば、この界隈では生きてはいけない。
