黒豹の唯一無二は

「ごちそうさまでした。

 お祖父ちゃん行ってきます。

 昨日も遅かったみたいだから身体には気
 をつけてね。」

心配そうに、勇次郎に視線を向けると嬉しそうに目元を緩ませる勇次郎と視線がぶつかる。

 
「心配させちまったか?

 大丈夫だ。何もお前が心配するようなこ
 とはねえよ。

 今日は、ゆっくり休んでるからお前も気を
 つけて学校気張ってこい。」


そんな返答に安堵の表情を見せ「行ってきます」と元気よく声をかけその場を後にし、玄関へ向かう。


「お嬢〜待ってましたよ〜。

 あ〜あ、ねみい。

 ほら行きますよ〜。」


ゼンと龍輝が玄関で待っていてくれた。
龍輝は、制服のワイシャツのボタンを二つも開けひどく着崩した格好をしている。


眠そうで、あくびが止まらない様子に思わず笑みがこぼれる。


「龍輝も昨日は遅かったの?

 待たせてごめんね。行こっか?」


「うい〜」なんて、緩い返事をして龍輝が後ろをついてくる。ゼンは、先に行って車の扉を開けて待っていてくれた。


「ゼンありがとう。

 鏡さんおはようございます。」


「いえいえ。

 さあ、行きましょうか。」


ゼンが声をかけるとルームミラー越しに優しく微笑む、鏡さんと目が合うと
「おはようございます」と優しい返事が返ってきた。


ゆっくりと、車が動き出す。
龍輝は、余程眠いのか助手席に乗り込むと目をつぶってしまった。


「お嬢、毎日言ってますが、
 くれぐれも気をつけてくださいね。

 何かあれば、必ず携帯に電話ください。

 近くで待機してます。」

ゼンが携帯をポケットから出し、こちらに見えるようにチラつかせる。


(本当に心配性なんだから。お祖父ちゃんに頼まれてるからって、そんなに心配しなくても大丈夫なのに。)

最近は、優しくされるたびに黒い感情が心に渦巻く。


「うん

 分かってる。ありがとうね。

 龍輝もいるし、大丈夫よ。

 行ってきます。」

(ゼンが悪いわけじゃないのに、素直に返事ができない。ごめんね、ゼン)


車から降りるとひどく眠そうな龍輝もゴソゴソと車から降りてきた。


後ろから、鏡とゼンの「行ってらっしゃい」と言う声が小さく聞こえた。


校門の前に車が停まるとひどく目立つため、わがままを言っていつも少し手前で止まってもらっている。


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