黒豹の唯一無二は

ニコニコ笑いはしているが、少し困った表情をするゼンに何だか申し訳なくなって慌てて話題を変える。


(ゼンにとって私は、今も昔もただ守る対象で小さい子供のままなのね。)


「あ〜お腹すいた。

 今日のご飯は何だろうね?

 早く食べて学校に行かなきゃね。」


何か言いたげなゼンから逃げるように歩き出し、皆が待っている居間の襖の前に着く。
そして、静かに襖を開ける。


「お祖父ちゃん、おはよう。

 お待たせしてごめんなさい。  

 皆も、おはよう。」


ゼンが後ろから入ってきて、自分の席に着くのを横目に見てから、奥の方まで20人ほどいるスーツを着た組員達全員に目を向ける。


朝は余程のことがない限り、下宿している組員達みんなでご飯を食べる。
それは、青山組の決まりの一つだ。


そして、上座に座るお祖父ちゃんの隣の席に座るため組員たちの前を通り自分の席に着く。


「よし、全員揃ったな。

 いただきます。」

勇次郎の掛け声と共に「いただきます」と皆々が口を揃えて感謝の言葉を口にする。



(お祖父ちゃんは、昔から挨拶や礼儀に厳しいから私もしっかりしないとな。ゼンに感じ悪い態度取っちゃったかも。あとで謝らないと。)


勇次郎は、いつもは優しく大事にしてくれるが間違った事や、礼儀知らずなことをするときちんと怒ってくれる。


食べ終わると、各自で「ごちそうさま」をしてその場を後にする。


食事の最中は基本的に静かな空間だ。


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