「国王にとって無知は罪。あの時、あなたの取るべき行動は保身のための不誠実な土下座を繰り返す事ではなかった」
その言葉に憤怒の表情を浮かべた国王が、右手を上げた。
その瞬間、短弓があらゆるところから私に向かって放たれた。
バルテス公爵家の支配が及ばない、国王配下の影たちだ。
弓の攻撃の他、短剣を逆手に持った独特の俊敏な動きで襲い掛かって来る。
この襲撃を予想していたバルテス公爵家と配下の騎士達は、一斉に応戦を開始した。
ダニエルが私の前に躍り出て襲い掛かる矢を薙ぎ払い、ギルバートも加わって応戦する。
「陣形を崩すな! 対象者を拘束して保護しろ! 招待客を外へ!」
ヴィルヘルムが怒号を飛ばしながら射手の位置を確認し、ステラは出入口すべてを開放させて招待客を外へ出した。
ヴィルヘルムの指示で射手が次々と倒され、向かう矢が少なくなって来た時、背後から伸びて来た手に私の口が塞がれた。
『後ろ!』
魂の声で叫んだが、私を背に庇っているダニエルには聞こえない。
強い力で引き寄せられるのを力の限り踏ん張り、魂の声で叫び続けた。
『なんで肝心な時に見てないの! 後ろー!』
必死にもがいていたその時、正面の鏡が目に入り、そこにダニエルも映っている。
これだ!
私は持っていた扇子を鏡に向かって思い切り投げた。鏡に当たった扇子と、そこに映ったもがく私に気付いたダニエルは、跳ね返った扇子を掴むと、振り向きざまに跳躍して私の背後の人物を吹き飛ばした。
その時、ホールの上部に張り出したキャットウォークから敵を蹴り落すと同時に、目の前に飛び降りて来た父のオスカーが、ダニエルの背後に回って声を掛けた。
「背中は任せろ! ヴィクトリアから目を離すな!」
その掛け声とともに父から投げ渡された剣を握り、私も飛んでくる短矢を跳ね返しながら向かってくる敵に応戦する。
しばしの戦闘の後、ヴィルヘルムが国王を守っていた影たちを蹴散らして拘束した事で影たちが武器を放棄し、混乱は終息した。
ギルバートが騎士達に会場の後始末と影たちの拘束の指示を出す間に、アルブレヒトは会場の外に出した貴族たちに混乱のお詫びと夜会の中止をアナウンスし、改めて各家に通達を出す旨を伝えた。
拘束された人物たちは、貴族牢に収監されて後日取り調べが行われる事になり、国王とアレックスは拘束されたまま王太子宮の牢に連行され、明日の朝からウェーバー公爵家とバルテス公爵家を含め、アルブレヒトと宰相と大臣たちによる聴取が行われる事になった。
後始末も終わり、疲れ切った体で邸に戻ると、ヘンリクがホールに立っていた。
驚いた私は、思わず立ちすくんでしまった。なぜここにいるのか。
「ハンナ様はどうしたの?!」
その問いに、ヘンリクは困惑したように答えた。
「別邸に送ってしばらく付いていたんだが、もう休むから帰った方が良いと言われたんだ。奥様の方が大変だったろうからって……」
『このぼんくら!』
私は魂の声で叫ぶと同時に、言葉でも叫んでしまった。
「すぐに別邸に戻って! このままではハンナ様を失ってしまうわ!」
一難去ってまた一難。
先人の言葉がつくづく身に染みる。
その言葉に憤怒の表情を浮かべた国王が、右手を上げた。
その瞬間、短弓があらゆるところから私に向かって放たれた。
バルテス公爵家の支配が及ばない、国王配下の影たちだ。
弓の攻撃の他、短剣を逆手に持った独特の俊敏な動きで襲い掛かって来る。
この襲撃を予想していたバルテス公爵家と配下の騎士達は、一斉に応戦を開始した。
ダニエルが私の前に躍り出て襲い掛かる矢を薙ぎ払い、ギルバートも加わって応戦する。
「陣形を崩すな! 対象者を拘束して保護しろ! 招待客を外へ!」
ヴィルヘルムが怒号を飛ばしながら射手の位置を確認し、ステラは出入口すべてを開放させて招待客を外へ出した。
ヴィルヘルムの指示で射手が次々と倒され、向かう矢が少なくなって来た時、背後から伸びて来た手に私の口が塞がれた。
『後ろ!』
魂の声で叫んだが、私を背に庇っているダニエルには聞こえない。
強い力で引き寄せられるのを力の限り踏ん張り、魂の声で叫び続けた。
『なんで肝心な時に見てないの! 後ろー!』
必死にもがいていたその時、正面の鏡が目に入り、そこにダニエルも映っている。
これだ!
私は持っていた扇子を鏡に向かって思い切り投げた。鏡に当たった扇子と、そこに映ったもがく私に気付いたダニエルは、跳ね返った扇子を掴むと、振り向きざまに跳躍して私の背後の人物を吹き飛ばした。
その時、ホールの上部に張り出したキャットウォークから敵を蹴り落すと同時に、目の前に飛び降りて来た父のオスカーが、ダニエルの背後に回って声を掛けた。
「背中は任せろ! ヴィクトリアから目を離すな!」
その掛け声とともに父から投げ渡された剣を握り、私も飛んでくる短矢を跳ね返しながら向かってくる敵に応戦する。
しばしの戦闘の後、ヴィルヘルムが国王を守っていた影たちを蹴散らして拘束した事で影たちが武器を放棄し、混乱は終息した。
ギルバートが騎士達に会場の後始末と影たちの拘束の指示を出す間に、アルブレヒトは会場の外に出した貴族たちに混乱のお詫びと夜会の中止をアナウンスし、改めて各家に通達を出す旨を伝えた。
拘束された人物たちは、貴族牢に収監されて後日取り調べが行われる事になり、国王とアレックスは拘束されたまま王太子宮の牢に連行され、明日の朝からウェーバー公爵家とバルテス公爵家を含め、アルブレヒトと宰相と大臣たちによる聴取が行われる事になった。
後始末も終わり、疲れ切った体で邸に戻ると、ヘンリクがホールに立っていた。
驚いた私は、思わず立ちすくんでしまった。なぜここにいるのか。
「ハンナ様はどうしたの?!」
その問いに、ヘンリクは困惑したように答えた。
「別邸に送ってしばらく付いていたんだが、もう休むから帰った方が良いと言われたんだ。奥様の方が大変だったろうからって……」
『このぼんくら!』
私は魂の声で叫ぶと同時に、言葉でも叫んでしまった。
「すぐに別邸に戻って! このままではハンナ様を失ってしまうわ!」
一難去ってまた一難。
先人の言葉がつくづく身に染みる。



