名指しされたジゼルは、ホールを出ようとした。
『逃がさないで!』
魂の声に反応して、ダニエルが王宮騎士に合図を送ると、ジゼルは周囲を騎士に囲まれた。
私はアレックスを見据えたままゆっくりと近づいた。
「あなたたちの美人局での脅迫に耐え兼ねて、王家に陳情を行った家がほら、こんなにたくさん。破産寸前の家もあるようね」
私は、ギルバートから手渡された契約書の束を一枚ずつめくりながら確認していく。
「手口は全て同じ、ターゲットに近づいて「友人」になった後、仮面舞踏会に誘い込み、飲み物に薬を混ぜて前後不覚にして事に及ぶ。実際に関係があったかどうかは分からないけれど、目が覚めた時に半裸で同衾していれば既成事実としては成り立つわ。それを元に金銭その他の脅迫を行っていたと。二人がそう証言していると記録されていますから間違いありませんわね」
アレックスは私の追及に、後ずさりを始めたが、後ろに立った王宮騎士にぶつかった。左右も既に王宮騎士に囲まれている。顔色を無くし、きょろきょろと周囲に目を向けながら逃れる隙を探している。
会場では、王宮騎士に囲まれている人物があちらこちらに見受けられる。その中に、側妃と、その父である伯爵も含まれていた。
それを見ていた国王が立ち上がり、大音声を発した。
「なぜそなたが王家の契約書を持っている! 近衛! 機密部への侵入だ! この女を拘束しろ!」
しかし、近衛は誰も動かない。国王の周囲を近衛が取り囲み、壇上へ第一王子のアルブレヒトが現れた。
「陛下、ウェーバー女公へ契約書を渡したのは私です。偽造の疑いがあったため、確認を依頼しました」
囲んだ近衛など目に入らぬように、仁王立ちの国王はアルブレヒトを見据えて重々しく口を開いた。
「そなた、我が偽の契約を交わしたと疑うか! 我が息子であろうとも許し難い!」
「陛下、断罪される前に、せめて潔くお認め下さい」
その言葉に激高した国王はアルブレヒトに詰め寄った。
「貴様、賢しらに意見するからにはその証を見せてみよ!」
一瞬悲壮な表情を浮かべたアルブレヒトだったが、表情を引き締めて私に視線を向けた。
私は、契約書の束の中の一枚と、背後に控えるダニエルから手渡された一枚の契約書を並べて掲げた。
「古代契約書は、代が変われば四隅の刻印と最後の古代文字の呪文が変わります。これは古からの各国共通の決まり事です。しかし、玉璽のあるこの前ウェーバー女公爵の契約書に記載されている日付は前女公爵亡き後の物。この日付でこの契約書が作成される事はあり得ない。現在使用されるべき、現ウェーバー女公爵である私の契約書はこちらです。刻印と呪文が明らかに違います」
国王は、往生際悪く不遜な態度で言い放った。
「前女公が亡くなってまだ数ヶ月、過渡期である今、用紙や様式が混乱することもあろう。そなたが再度作成しなおせば済む事ではないか。それをこのように大げさに騒いで夜会を混乱させるとは。不敬罪を問わない代わりに、契約書の差し替えを命ずる」
「その命、謹んでお断りいたします。不敬を問われて国を追われるなら願ったり叶ったりです」
その言葉に、私は思わず笑顔を向け、言葉を続けた。
「現在、王都にほど近い場所にあるウェーバー公爵家本邸とその周辺の森を含む広い土地は、隣国でメイザー伯爵の地位を得た父と、現ウェーバー女公爵でもある私の共同所有として買い戻しています。ここで私を追放してしまえば、王宮から馬車で半日もかからない場所に隣国の飛び地が形成される事になります。そしてその土地の所有者は王家に禍根を残す我がウェーバー公爵家。さらに、治外法権が適用されるため、そこで何が行われようと王家は一切手が出せない。街道も整備されており、騎乗であれば一時間もかからない距離なのです。有事となれば、即座に国王の喉元にナイフを突きつける事が出来ます」
私のその言葉に、隣国の王太子が乗った。
「近隣国にとっても貴重な古代文学の専門家であるウェーバー女公爵は、どの国でも諸手を挙げて迎え入れてくれるだろう。特に我が王家とは遠くない血縁関係にある。現在の女公爵の地位のままとはいかずとも、相応の貴族の肩書を持って迎え入れよう」
押し黙る周囲人々の沈黙を破るように国王が口を開いた。
「貴様、一体何が目的だ」
「元王子アレックス殿の詐欺と横領の詳細の公表と、王家の正式な謝罪による我がウェーバー公爵家の名誉の回復」
国王は蔑んだ目を私に向け、嘲笑う様に言葉を発した。
「賭博で身を滅ぼした失態を、まさかアレックスの詐欺だと言うのか? しかも王家が其方らに謝罪などもっての外! 言い掛かりも甚だしい!」
その言葉に、隣国の騎士に拘束された、あの賭博場の胴締めを伴った父オスカーが私の横に立った。
「この会場に、君が金を貸した「ロシュフォール伯爵」はいるかな? 指を差して教えてくれ。約束通り正直にね」
そう言われた胴締めは、怯え切った目をオスカーに向けると、ある一点を指示した。
その指し示す先に居たのは、元王子アレックスだった。
オスカーは、ゆっくりと騎士に囲まれて身動きが取れないアレックスに近づくと、俯いた顎に指をかけて顔を上げさせると、面白そうに笑いながら言葉を発した。
「おかしいなあ、前ロシュフォール伯爵はとっくに亡くなってるし、現ロシュフォール伯爵は、私なんだよ?」
そう言って、改めて国王に視線を移した。
その言葉に、国王は声を荒げた。
「そなた、平民となって隣国へ渡ったはず。我が国の伯爵位を騙るなど言語道断だ!」
その言葉に、各国の王太子が呆れたような目を向ける中、隣国の王太子が口を開いた。
「彼は平民ではありませんよ。MWR商会の会長であり、その功績を以って我が国でメイザー伯爵位に叙しました。彼の妻の実家であるメローナ家も、一代限りとは言え男爵位にあり、この国で貴族の継承に必要な条件は満たしています。そこで、この度、娘であるウェーバー女公爵の保有するロシュフォール伯爵位を譲り受けたまでの事、我が国の貴族でもある彼に対し、それこそ言い掛かりも甚だしい」
言葉に詰まる国王に、私は言い聞かせるように語りかけた。
「いくら論点をずらしても無駄ですよ。潔くお認め下さい」
そう言った私に、国王は話しはこれで終わりだという様に叫んだ。
「わかった! 領地を全て元に戻す。それで良いだろう!」
その言葉に、私は国王に呆れを含んだ言葉をかけた。
「遅きに失するとは言い得て妙ですこと。何年経ったとお思いですか? 土地を手にした領主たちと、そこに暮らす民が協力して発展させて来たその地には、多額の投資に加えて既に多くの人々の生活の基盤が根付いているのですよ? それを突然召し上げると仰るのですか?」
私は、ゆっくりと国王の目の前に移動し、冷ややかな目で見据えながら言い放った。
「そんなことをすれば確実に領主と民たちの恨みを買います。ああ、成る程、その矛先は我がウェーバー公爵家に向かわせようというお考えですね? そう言えば、人に責任を擦り付けるのは王家のお家芸でしたわね」
国王は怒りで顔を真っ赤にし、歯を食いしばったこめかみに血管が浮かび上がった。
不敬だと怒鳴りたいのを、かろうじて喉元で止めているのだろう。
その様子を冷ややかに見つめる私を一瞥し、とひと呼吸置くと、絞り出すような声でもう一度依頼をして来た。
「……では資産と金を返す。だから、このまま矛を収めてくれ」
その言葉に、思わずこみ上げた笑いを抑えることなく声に出し、言葉に乗せた。
「ほほほ、その不誠実な口約束とはした金で長年にわたって祖母と父をあしらっていらっしゃいましたものね。まさか、長年のやり取りを具に見て来たこの私が、その卑怯な駆け引きに乗るとでも? 事ここに至ってなお卑劣な嘘を重ねようとは、心底あきれ果てた所行ですわ。それで? その果たされる事のない口約束がこれで一体何度目なのか、陛下は覚えていらっしゃるかしら?」
『さあ、反論出来るものならやってご覧なさい。捻りつぶして差し上げるわ』
次々に淡々と辛辣な言葉を紡ぎ出すヴィクトリアと、それに一切反論ができない国王の間に漂う張り詰めた空気の中、部屋に居た者たちは誰もが固唾をのんで見つめる事しか出来なかった。
私は身を屈めて目を細め、国王の顔を覗き込むようにして、周囲にも聞こえるように言葉を掛けた。
「我がウェーバー公爵家を叩きつぶした上に据えた玉座は、この期に及んでも見苦しくしがみ付く程に、たいそう座り心地がよろしいようですわね」
姿勢を戻した私は、拳を握りしめて真っ赤な顔で私を睨む国王を見据えながら、ああ、それからと言葉を続けた。
「横領した資産といえば、アレックス元王子が横領したのは、ロシュフォール伯爵家とウェーバー公爵家の財産だけではありませんでしょう? このまま隠し通せるとでもお思いでしたか? 数代遡って資料を突き合わせればすぐに分かることです。ここにリストがありますので、その分の返還もきちんとなさってくださいませね」
リストを渡されたアルブレヒトは、宰相と共にその資料を見て絶句している。
国王に向かって私は最後の言葉をかけた。
「国王にとって無知は罪。あの時、あなたの取るべき行動は保身のための不誠実な土下座を繰り返す事ではなかった」
私の言葉に憤怒の表情を浮かべた国王は、ゆっくりと右手を上げた。
『逃がさないで!』
魂の声に反応して、ダニエルが王宮騎士に合図を送ると、ジゼルは周囲を騎士に囲まれた。
私はアレックスを見据えたままゆっくりと近づいた。
「あなたたちの美人局での脅迫に耐え兼ねて、王家に陳情を行った家がほら、こんなにたくさん。破産寸前の家もあるようね」
私は、ギルバートから手渡された契約書の束を一枚ずつめくりながら確認していく。
「手口は全て同じ、ターゲットに近づいて「友人」になった後、仮面舞踏会に誘い込み、飲み物に薬を混ぜて前後不覚にして事に及ぶ。実際に関係があったかどうかは分からないけれど、目が覚めた時に半裸で同衾していれば既成事実としては成り立つわ。それを元に金銭その他の脅迫を行っていたと。二人がそう証言していると記録されていますから間違いありませんわね」
アレックスは私の追及に、後ずさりを始めたが、後ろに立った王宮騎士にぶつかった。左右も既に王宮騎士に囲まれている。顔色を無くし、きょろきょろと周囲に目を向けながら逃れる隙を探している。
会場では、王宮騎士に囲まれている人物があちらこちらに見受けられる。その中に、側妃と、その父である伯爵も含まれていた。
それを見ていた国王が立ち上がり、大音声を発した。
「なぜそなたが王家の契約書を持っている! 近衛! 機密部への侵入だ! この女を拘束しろ!」
しかし、近衛は誰も動かない。国王の周囲を近衛が取り囲み、壇上へ第一王子のアルブレヒトが現れた。
「陛下、ウェーバー女公へ契約書を渡したのは私です。偽造の疑いがあったため、確認を依頼しました」
囲んだ近衛など目に入らぬように、仁王立ちの国王はアルブレヒトを見据えて重々しく口を開いた。
「そなた、我が偽の契約を交わしたと疑うか! 我が息子であろうとも許し難い!」
「陛下、断罪される前に、せめて潔くお認め下さい」
その言葉に激高した国王はアルブレヒトに詰め寄った。
「貴様、賢しらに意見するからにはその証を見せてみよ!」
一瞬悲壮な表情を浮かべたアルブレヒトだったが、表情を引き締めて私に視線を向けた。
私は、契約書の束の中の一枚と、背後に控えるダニエルから手渡された一枚の契約書を並べて掲げた。
「古代契約書は、代が変われば四隅の刻印と最後の古代文字の呪文が変わります。これは古からの各国共通の決まり事です。しかし、玉璽のあるこの前ウェーバー女公爵の契約書に記載されている日付は前女公爵亡き後の物。この日付でこの契約書が作成される事はあり得ない。現在使用されるべき、現ウェーバー女公爵である私の契約書はこちらです。刻印と呪文が明らかに違います」
国王は、往生際悪く不遜な態度で言い放った。
「前女公が亡くなってまだ数ヶ月、過渡期である今、用紙や様式が混乱することもあろう。そなたが再度作成しなおせば済む事ではないか。それをこのように大げさに騒いで夜会を混乱させるとは。不敬罪を問わない代わりに、契約書の差し替えを命ずる」
「その命、謹んでお断りいたします。不敬を問われて国を追われるなら願ったり叶ったりです」
その言葉に、私は思わず笑顔を向け、言葉を続けた。
「現在、王都にほど近い場所にあるウェーバー公爵家本邸とその周辺の森を含む広い土地は、隣国でメイザー伯爵の地位を得た父と、現ウェーバー女公爵でもある私の共同所有として買い戻しています。ここで私を追放してしまえば、王宮から馬車で半日もかからない場所に隣国の飛び地が形成される事になります。そしてその土地の所有者は王家に禍根を残す我がウェーバー公爵家。さらに、治外法権が適用されるため、そこで何が行われようと王家は一切手が出せない。街道も整備されており、騎乗であれば一時間もかからない距離なのです。有事となれば、即座に国王の喉元にナイフを突きつける事が出来ます」
私のその言葉に、隣国の王太子が乗った。
「近隣国にとっても貴重な古代文学の専門家であるウェーバー女公爵は、どの国でも諸手を挙げて迎え入れてくれるだろう。特に我が王家とは遠くない血縁関係にある。現在の女公爵の地位のままとはいかずとも、相応の貴族の肩書を持って迎え入れよう」
押し黙る周囲人々の沈黙を破るように国王が口を開いた。
「貴様、一体何が目的だ」
「元王子アレックス殿の詐欺と横領の詳細の公表と、王家の正式な謝罪による我がウェーバー公爵家の名誉の回復」
国王は蔑んだ目を私に向け、嘲笑う様に言葉を発した。
「賭博で身を滅ぼした失態を、まさかアレックスの詐欺だと言うのか? しかも王家が其方らに謝罪などもっての外! 言い掛かりも甚だしい!」
その言葉に、隣国の騎士に拘束された、あの賭博場の胴締めを伴った父オスカーが私の横に立った。
「この会場に、君が金を貸した「ロシュフォール伯爵」はいるかな? 指を差して教えてくれ。約束通り正直にね」
そう言われた胴締めは、怯え切った目をオスカーに向けると、ある一点を指示した。
その指し示す先に居たのは、元王子アレックスだった。
オスカーは、ゆっくりと騎士に囲まれて身動きが取れないアレックスに近づくと、俯いた顎に指をかけて顔を上げさせると、面白そうに笑いながら言葉を発した。
「おかしいなあ、前ロシュフォール伯爵はとっくに亡くなってるし、現ロシュフォール伯爵は、私なんだよ?」
そう言って、改めて国王に視線を移した。
その言葉に、国王は声を荒げた。
「そなた、平民となって隣国へ渡ったはず。我が国の伯爵位を騙るなど言語道断だ!」
その言葉に、各国の王太子が呆れたような目を向ける中、隣国の王太子が口を開いた。
「彼は平民ではありませんよ。MWR商会の会長であり、その功績を以って我が国でメイザー伯爵位に叙しました。彼の妻の実家であるメローナ家も、一代限りとは言え男爵位にあり、この国で貴族の継承に必要な条件は満たしています。そこで、この度、娘であるウェーバー女公爵の保有するロシュフォール伯爵位を譲り受けたまでの事、我が国の貴族でもある彼に対し、それこそ言い掛かりも甚だしい」
言葉に詰まる国王に、私は言い聞かせるように語りかけた。
「いくら論点をずらしても無駄ですよ。潔くお認め下さい」
そう言った私に、国王は話しはこれで終わりだという様に叫んだ。
「わかった! 領地を全て元に戻す。それで良いだろう!」
その言葉に、私は国王に呆れを含んだ言葉をかけた。
「遅きに失するとは言い得て妙ですこと。何年経ったとお思いですか? 土地を手にした領主たちと、そこに暮らす民が協力して発展させて来たその地には、多額の投資に加えて既に多くの人々の生活の基盤が根付いているのですよ? それを突然召し上げると仰るのですか?」
私は、ゆっくりと国王の目の前に移動し、冷ややかな目で見据えながら言い放った。
「そんなことをすれば確実に領主と民たちの恨みを買います。ああ、成る程、その矛先は我がウェーバー公爵家に向かわせようというお考えですね? そう言えば、人に責任を擦り付けるのは王家のお家芸でしたわね」
国王は怒りで顔を真っ赤にし、歯を食いしばったこめかみに血管が浮かび上がった。
不敬だと怒鳴りたいのを、かろうじて喉元で止めているのだろう。
その様子を冷ややかに見つめる私を一瞥し、とひと呼吸置くと、絞り出すような声でもう一度依頼をして来た。
「……では資産と金を返す。だから、このまま矛を収めてくれ」
その言葉に、思わずこみ上げた笑いを抑えることなく声に出し、言葉に乗せた。
「ほほほ、その不誠実な口約束とはした金で長年にわたって祖母と父をあしらっていらっしゃいましたものね。まさか、長年のやり取りを具に見て来たこの私が、その卑怯な駆け引きに乗るとでも? 事ここに至ってなお卑劣な嘘を重ねようとは、心底あきれ果てた所行ですわ。それで? その果たされる事のない口約束がこれで一体何度目なのか、陛下は覚えていらっしゃるかしら?」
『さあ、反論出来るものならやってご覧なさい。捻りつぶして差し上げるわ』
次々に淡々と辛辣な言葉を紡ぎ出すヴィクトリアと、それに一切反論ができない国王の間に漂う張り詰めた空気の中、部屋に居た者たちは誰もが固唾をのんで見つめる事しか出来なかった。
私は身を屈めて目を細め、国王の顔を覗き込むようにして、周囲にも聞こえるように言葉を掛けた。
「我がウェーバー公爵家を叩きつぶした上に据えた玉座は、この期に及んでも見苦しくしがみ付く程に、たいそう座り心地がよろしいようですわね」
姿勢を戻した私は、拳を握りしめて真っ赤な顔で私を睨む国王を見据えながら、ああ、それからと言葉を続けた。
「横領した資産といえば、アレックス元王子が横領したのは、ロシュフォール伯爵家とウェーバー公爵家の財産だけではありませんでしょう? このまま隠し通せるとでもお思いでしたか? 数代遡って資料を突き合わせればすぐに分かることです。ここにリストがありますので、その分の返還もきちんとなさってくださいませね」
リストを渡されたアルブレヒトは、宰相と共にその資料を見て絶句している。
国王に向かって私は最後の言葉をかけた。
「国王にとって無知は罪。あの時、あなたの取るべき行動は保身のための不誠実な土下座を繰り返す事ではなかった」
私の言葉に憤怒の表情を浮かべた国王は、ゆっくりと右手を上げた。



