バレンタインはキスをして

「答えは夜な。ほら襲われないうちに着替えてこいよ。おすすめはグレーと白のやつ」

「うん。わかった」

ようやくソファーに腰を下ろした颯を横目に私は紙袋の中からグレーのワンピースと白のコートを手にさっと寝室に入り鍵をかける。


(うーん。昨日言っとけば良かったかな……)

颯から結婚して四年経ってもこうして求められるのは、嬉しいしいつもなら問題ない。

でも──今は難しいのだ。

(颯、《《あのこと》》言ったらどんな顔するのかな)

私は颯が選んでくれたワンピースにコートを羽織ると、浮かれた気持ちそのままに颯の待つリビングへ向かった。