バレンタインはキスをして

「てかさ二人でデートとか楽しみすぎてさ。誰かさんと違って俺、昨日寝れなかったんだけど?」

颯がわざと子供みたいに口を尖らせながら私と距離を詰める。
たったそれだけなのに私の心臓は相変わらず、すぐに駆け足になって頬が熱くなる。

「そ、そうなの?」

「てか、顔もう赤い」

颯がするりと私を後ろから抱きしめると耳元にリップ音を立てる。

「わ……っ、ちょっと颯」

「その顔ヤバい」

颯は唇を首筋に移動させると軽く吸い付かせながら、私のブラウスのボタンをひとつ外した。

「しよっか」

「だ、だめだよ。まだお昼の11時なのに」

私はガッと颯の手を掴むと壁掛け時計を指差した。


「は? 好きな女は夜の23時以降じゃねぇと抱いちゃダメとかあんの?」

颯は人差し指でネクタイを緩めると、今度は私のスカートに手をかける。

「待って……っ」

「どうせ着替えんだろ? 脱がしてやるから」

「ダメ、自分で着替えれるから。それに颯とお出かけしたいし、あとでね?」

懇願するように顔だけ振り返ると、颯が私のブラウスのボタンの三つ目を外そうとしていた手をピタリと止めた。

「んー、確かにベッド行ったら夕方になりそうだしな……」

「え?! 夕方?!」