バレンタインはキスをして

颯はどうしても外せない仕事があるらしく、午前中に子供たちとミャーをお義父さんに預けた後、得意先に寄ってから帰宅すると言ってそのままだ。

「粗熱とれたし、もう袋いれちゃお」

私は猫とハートが描かれたラッピングの袋にクッキーを入れるとリボンを結んだ。

子供たちのはチョコチップ入りで、颯のはお砂糖なしのバターだけを使い甘さ控えめに作ってある。勿論ミャーのも毎年作っていて、小麦粉ではなく米粉を使って作った猫でも安心して食べられるクッキーだ。

「よし、完成。颯が帰ってくる前に片付けないと」

私は時計を気にしながらキッチンをさっと片付けると、颯のクッキーをプレゼントと一緒に鞄にそっと忍ばせた。

(颯、喜んでくれるかな)

まだ渡す前なのに颯の嬉しそうな顔が浮かんで、つい口元がゆるむ。

(二人きりでお誕生日過ごすなんて、あの日……コンビニに颯が迎えに来てくれた以来かも)

颯が遠く離れたコンビニで、こっそり働いていた私をリムジンで迎えに来てくれた日。

颯は私にプロポーズしてくれた。
そして結婚式を挙げ双子が生まれて丸3年。
本当に毎日が幸せだ。

子供を産んで体型が変わっても、休日つい面倒ですっぴんで過ごしても、たまに仕事で疲れてご飯が作れず、お惣菜を買って帰っても颯は何ひとつ文句らしいことを言ったことがない。

それどころか家事も育児も手伝ってくれて寝る前は必ず『今日もありがとう。好きだよ』と優しくキスをしてくれる。

何年経っても変わらない、彼の真っ直ぐな愛情が素直に嬉しくて、いつも心がぽかぽかと優しい気持ちで満たされている。

「ほんと幸せだなぁ……」

きっとこれから、もっと幸せでもっと愛おしい毎日が待っている。

だって──。