ガラス越しの恋

帰り道がやけに寒く感じられた。


昨日、花蓮はこんな中を待っていてくれたんだ。


今になって気づくなんて、最悪だ。


無くしてから初めて気がつくなんてベタ過ぎる。


過去の恋愛に夢中になって、本当に大切なことを見失うなんて。


昨日会いに行けば良かった。

謝り倒してクリスマスを祝えば良かった。

ポケットの中の花蓮のケータイが重く感じた。

開くと花蓮が描いた絵が待受画面になっていた。

ガラスの壁を挟んで寄り添う少女と少年。

手を重ね、お互いを見つめているはずなのに、幸せそうに見えない。

ガラス越しだからだろうか?
いや…

気持ちが通じてないからだ。

少年の目が少女を通り越しているんだ。

少女の目は少年を真っ直ぐ見ている。

少女は少年の心が自分にないことを気づいているんだ。