だって私は、目黒さんを止められなかったから。
忠告しても聞く耳を持たれなかった上、まともに話した2回はどちらも冷たくあしらわれる始末。
言い換えれば、私が目黒さんを殺したようなものなのかもしれない。
けれどそれはどうかとして……怪しいと思って目黒さんと黒川さんのあとをつけ、黒川さんを屋上から突き落としたのは事実。
私が屋上に入るのはだれも見ていないと思うし、今日は寒いから偶然にも手袋をつけているので、私が自首しない限り…目黒さんと黒川さんは事故死ということになってしまう。
ポケットからスマホを取り出し、手袋を外して電話アプリのアイコンをタップする。
そして[110]を入力し、電話をかけるボタンを– –
– –「フッ」
だが、直前で指を引っこめた。
警察に電話せず、スマホの電源を落としてポケットの中にしまう。
それから手袋をはめ直して、私は歩き出した。



