嘘つき天体 ―ブラックホール・ランデブー―

目的地はもちろん、理科室だ。


あーあ……断れない私も悪いけど、なるべく早く、家に帰りたかったのに。

陽葵はことあるごとに、私にめんどうごとを押しつけてくる。

だがそれは悪意ゼロで、ただ自分でやるのが面倒臭いから、幼なじみなうえにこういうことを断れない性格の私を使うだけ。

それがいつも透けて見えるから、私としてはそれがものすごく疲れるのだ。

くわえて彼女とは幼なじみだけど、現在…中学1年生になってからクラスは同じだけどあまり関わらなくなったのに、こういう時だけ頼ってくるのは、端的に言ってウザい。

悪意ゼロだとは私が1番分かっているけど、それでもウザいのは変わらない。

いや……むしろ、悪意ゼロはもっとタチが悪いから、もっとウザいかもしれないな。

ちなみに中学生になって関わりが減ったのは、私と陽葵のタイプが正反対な事実が、ここで表面化してしまったからだ。

小学校時代は一緒にいるのが当たり前だったから、『美月ちゃんと陽葵ちゃんは2人で1つ、他のだれかが入る余地はない』みたいな空気感が勝手にできあがっていた。

だが低学年の時は幼かったからそれでよかったけど、学年があがるにつれて私は、陽葵と自分の差に悩むようになった。

そして中学生になると、別の小学校出身の子や元々陽葵と仲良くなりたかったのであろう同じ小学校出身の子が、ここぞとばかりに陽葵の友だちになり始めた。

上戸さんもそうだ。

そしてその反動で私は、自分のグループに入らせようとしてくる陽葵を少し避け気味になり、ほとんど1人で行動するようになっていた。