嘘つき天体 ―ブラックホール・ランデブー―

「美月~~!!」

どんっと後ろから抱きつかれる。

振り向かなくても、声だけでだれが背後にいるのか容易に想像がついた。

「どうしたの– –陽葵」

私は少し首を後ろに向け、抱きついてきた張本人– –幼なじみの芦田陽葵(アシダ ヒマリ)に目をやった。

「実はさ、美月にお願いがあって~」

「…なに?」

嫌な予感がした。


「あたし、このあとすぐに星花とスイパラに行く約束してて……これ、代わりに理科室の提出箱に出しといてくれないかな?」

「……え」

その予感がみごとに当たってしまい、自分でも顔が引きつるのを感じる。

あわててふつうの表情に戻そうとするも、陽葵に理科の課題プリントを差し出され、また顔が引きつった。

さらに教室の扉の前で立っている、これから陽葵とスイパラに行くらしい陽葵のグループの1人– –上戸星花(ウエト セイカ)さんに視線で『早くしてよ』と訴えられる。

さすがに今すぐ、この場から逃げ出したい気分になった。