中学生のみのりには、大学生の姉がいる。
姉の沙希はこの春から、ここから少し離れた大学に通い始めた。
早朝に出発すれば授業には間に合うのだが、それでは大変だろうという両親の考えで、大学の近くで一人暮らしをしている。
だから、たまにしか帰ってこない。例えば、お正月や夏休みのような長期休暇とか。週末に家族の誕生日を祝うときとか。
ところがある日、みのりが学校から帰ると月曜だというのにリビングには妙な顔をした沙希が座っていた。
「どうしたの?」
「うん、ちょっとね……」
沙希はスマートフォンをいくつか操作して、それから画面をみのりに見せた。
「見てくれる? 今朝、同じバイトの男の子からこれが届いたの」
沙希が見てと言うなら読んでいいんだろう。
画面に映し出されたメッセージは、こんなことが書いてあった。
『おはよう。昨日使ってた新しい香水だけど、すごく良い香りだね。爽やかな柑橘の香りは可愛い君によく似合ってるよ』
みのりは思わずはしゃいだ声を出してしまった。
「ええーっ。可愛い君、だって! 彼氏?」
恋バナは聞いたことなかったけれど、こんなラブラブな相手がいたなんて!
けれど……沙希は首を横に振った。
「ううん、バイト先が同じだけ」
それを聞いて、みのりはある恐ろしい事実に気が付いた。
***
今日が月曜日なのだから、昨日は日曜日。
昨日は沙希の誕生日だったので、一人暮らしのアパートから久しぶりに帰ってきて、家族みんなで夕食を食べながらお祝いをした。
『新しい香水』というのは、みのりが沙希の誕生日プレゼントにあげたものだ。
その日は遅くなってしまったので、沙希はアパートには帰らずに翌日の朝早くに家を出て、大学へ向かった。その時に新しい香水を使ったのだ。
つまり、沙希のバイト先の人はまだ誰も、新しい香水が柑橘の香りだと知っている人はいないはず。
――たとえば、姉のあとをずっとつけていたりしなければ。
姉の沙希はこの春から、ここから少し離れた大学に通い始めた。
早朝に出発すれば授業には間に合うのだが、それでは大変だろうという両親の考えで、大学の近くで一人暮らしをしている。
だから、たまにしか帰ってこない。例えば、お正月や夏休みのような長期休暇とか。週末に家族の誕生日を祝うときとか。
ところがある日、みのりが学校から帰ると月曜だというのにリビングには妙な顔をした沙希が座っていた。
「どうしたの?」
「うん、ちょっとね……」
沙希はスマートフォンをいくつか操作して、それから画面をみのりに見せた。
「見てくれる? 今朝、同じバイトの男の子からこれが届いたの」
沙希が見てと言うなら読んでいいんだろう。
画面に映し出されたメッセージは、こんなことが書いてあった。
『おはよう。昨日使ってた新しい香水だけど、すごく良い香りだね。爽やかな柑橘の香りは可愛い君によく似合ってるよ』
みのりは思わずはしゃいだ声を出してしまった。
「ええーっ。可愛い君、だって! 彼氏?」
恋バナは聞いたことなかったけれど、こんなラブラブな相手がいたなんて!
けれど……沙希は首を横に振った。
「ううん、バイト先が同じだけ」
それを聞いて、みのりはある恐ろしい事実に気が付いた。
***
今日が月曜日なのだから、昨日は日曜日。
昨日は沙希の誕生日だったので、一人暮らしのアパートから久しぶりに帰ってきて、家族みんなで夕食を食べながらお祝いをした。
『新しい香水』というのは、みのりが沙希の誕生日プレゼントにあげたものだ。
その日は遅くなってしまったので、沙希はアパートには帰らずに翌日の朝早くに家を出て、大学へ向かった。その時に新しい香水を使ったのだ。
つまり、沙希のバイト先の人はまだ誰も、新しい香水が柑橘の香りだと知っている人はいないはず。
――たとえば、姉のあとをずっとつけていたりしなければ。
