追ってきた誘拐犯?

私の街に、昔、子どもを誘拐した犯人がいるって噂が流れた。
私の通っている小学校は、犯人は今も子どもを誘拐しようと狙っている、なんて言われている。

まさか、そんなのただの噂だよね。
そう思っていたけど、ある日学校から帰る途中、誰かが私の後をつけてくる。
振り返って顔を見ると、知らないおじさんだ。
まさか、あの人が誘拐犯?

怖くなった私は、必死に走って、急いで家まで帰った。
すると、ママが心配そうに出迎えてくれた。

「そんなに慌てて、いったいどうしての?」
「えっと……ママ、あのね…………」

今あった出来事を話すと、ママはすごく心配していた。

「私をつけてきた人、誘拐犯かもしれない」
「そんなことないわ。そんなこと、絶対にない」

不安になる私に、ママは何度もそんなことないと言って、元気づけようとしてくれた。
うちにはパパがいなくて、たった2人の家族だから、ママは私のことを特別可愛がってくれてるの。
ママ、心配かけてごめんね。

けどその時、突然家のチャイムが鳴る。
ママが恐る恐る玄関のドアを開けると、そこには、さっき私をつけてきたおじさんがいた。

「やっ!」

まさか、私を誘拐しに家まで来たの?
怖くて悲鳴をあげるけど、そのおじさんは、警察手帳を取り出した。

「わたくし、警察のものですが、話を聞かせてもらっていいですかな?」

刑事さん?
なんでもその刑事さん。誘拐犯の捜査をしているんだって。
なんだ、心配して損したよ。

ママも、びっくりしたのか顔を真っ青にしていたけど、刑事さんなら安心だね。


【解説】

誘拐犯につけられたかもしれないと言う主人公に対して、そんなこと絶対にないというお母さん。
実は、昔、子供を誘拐した犯人というのがこのお母さんで、主人公の女の子は誘拐犯を実のお母さんだと思い込んでいた。
刑事さんが誘拐犯の捜査をしていたのも、このお母さんが怪しいと思ってのことだった。