助かった四人

海で小型のクルーザーが事故にあい、転覆した。

幸いなことに、乗っていた四人は、備え付けていた救命ボートで脱出。なんとか、全員の命は助かった。

とはいえ、救命ボートでの脱出も、かなり命がけだったようだ。
その救命ボートは、四人乗り。しかも慌てて乗ったためかなり不安定で、もしもあと一人でも多く乗っていたら、間違いなく沈んでいただろう。

四人の持ち物のほとんどは、クルーザーと一緒に海に沈んだけど、一人がたまたま持っていたカメラだけは無事だった。
少し水に濡れたが、耐水機能もあったため、写真もちゃんと見ることができた。

その写真のひとつに、助かった四人全員が一緒に写っているものがあった。
クルーザーが転覆する、少し前に撮ったものだ。

「少し前までは、みんなでこんな風に写真を撮って騒いでいたけど、まさかこんなことになるなんてな。けど、助かってよかった」

その写真は、手ブレがひどく、ところどころ画像がぼやけていたけど、四人全員が肩を組み、笑顔だった。


【解説】

手ブレが酷いということは、その写真は誰かが手に持って撮影していたということ。
なのに、写真には助かった四人が写っている。

実は元々クルーザーには五人が乗っていて、写真を撮ったのはその五人目だった。

一方、救命ボートで脱出し助かったのは四人。
残った一人は、助からなかった。