眷属少女のブーケット


 
 それから賑やかに朝ごはんを済ませ、ファミリールームに移動して食後のコーヒーを味わっているとノイたんが「あ、そうそう」とおもむろに指を鳴らした。
 
 静かに5人のメイド達がやって来る。

 
「めでたく無事に、テスさんとこれからずうっと一緒に暮らせるようになりましたからお前達、改めて彼女に挨拶するように」
 

 5人は黙ったまま互いに顔を見合わせると、その場でクルリと優雅に一回転し、カーテシーをきめる。
 
 すると今まで人の顔をしていたところに、花が咲いた…いや、首から上が花へと変わった。
 
 デイジー、マリーゴールド、キキョウ、ヒマワリ、そしてこの屋敷で初めて目覚めた時に見た、ピンク色のチューリップ!
 

「わっいた!やっぱりいたんだ、チューリップのメイドさん!!」
「あの時は嘘をついてスミマセンデシタ。魔法のことは秘密にしていましたから、なるべく人間に見えるよう姿を変えさせていたんデス」
「あ、それでか」
 
「右から
  ゲンゼ(デイジー)
  トゥルぺ(チューリップ)
  リンゲル(マリーゴールド)
  バローン(キキョウ)
  ゾンネン(ヒマワリ)
 以上この5輪が、屋敷の警備と管理を任せているボクの使い魔【ブルーメリッター】デス」
 
「おおおなんかカッコいいー!!」
 

 ワクワクしながら、近寄って見上げる。
 

「ね、あのごめんなんだけど」
「……」
「ちょっとだけ、触ってみても良い?ちょっとだけ」
「……」
「彼女達の声はテスさんには聞こえないみたいデスカラ、代わりに伝えると「良いよ」って言ってマスヨ」
 

 何も喋らないからダメかと思って戻ろうとすると、後ろからノイたんが背中を押してくれた。
 また改めて振り返れば、トゥルぺさんが少し屈んで撫でやすい位置に顔を近づけてくれている。
 傷付けないよう慎重に、指先で軽く触れるようなぞってみれば、生花の瑞々しさと柔らかさがしっかりと伝わって、被り物ではなく本物の花であることがよくわかった。
 

「すげ…めちゃくちゃ魔法だ……確か、日光と水がいるんだよね?」
「そうデス。両方とも自分で摂取しに行けますが水は霧吹きでかけてやると喜びマスカラ、良かったらたまにかけてやってクダサイネ」
「ん、わかった!」
 

 まだノイたんのお嫁さんとして、この屋敷の奥様としてもやっていけるかかなり不安だったけれど、こんなにも不思議なメイドさんと一緒に過ごせるのがすごく楽しみになってきた。
 

「以後、よろしくお願いします」
 

 小声でそっと囁いても、返事は来ない。
 
 ただ、5輪ともノイたんには見えない位置でサムズアップを返してくれている。仲良くなれそうだ。