透明人間「透明人間になる薬を飲ませた少女と薬を飲んだ少年のラブコメ」

透明人間

青葉台高校という、ある男女共学の進学校である。
山野哲也は学校で一番の秀才だった。
模擬試験の判定でも東大の文科1類に合格の可能性70%との評価だった。
しかし70%でも確実に東大の文科1類に入れるという保障は無い。
東大には、灘高校や開成高校、東京学芸大学附属高校など、全国の進学校のスーパーエリート、怪物が受験してくるからだ。
しかし哲也はどうしても東大文科1類に入りたかった。
東大文科1類合格→東大法学部主席卒業→司法試験合格→財務省入省→財務省事務次官。
が哲也の譲れない人生の目標だった。
そのため哲也は毎日、猛勉強した。
何が何でも東大文科1類に入ってやる、と哲也はゆるぎない決意をしていた。
・・・・・・・・・・・
哲也と同じクラスに佐藤京子という生徒がいた。
可愛い子だった。
京子は哲也が好きだった。
「ねえ、哲也くん。将来は結婚して」と佐藤京子が言うと、哲也は、「うん。いいよ。ただし君が女子アナになって、ニュースウォッチ9か、報道ステーションか、ニュース11のキャスターになれたらね」と言った。
要するに哲也は、自分も妻も世間に注目されたい、という子供じみたミーハーな性格だった。
佐藤京子の父親は理化学研究所の研究者で、日本政府から頼まれて、何か、ある極秘研究をしていた。
ある日の放課後である。
誰もいなくなった教室で京子が哲也に話しかけてきた。
「ねえ、ねえ。哲也君。私のお父さんが、長年、研究していた研究に成功したの」
京子は誇らしげに言った。
「ふーん。どんな研究に成功したの?」
哲也は不愛想に聞き返した。
「透明人間になれる薬を開発したの」
京子が言った。
「まさかあ。透明人間なんて漫画のことでしょ。現実に人間が透明人間になれるわけがないじゃない」
哲也は、透明人間など、はなから信じていなかったので即否定した。
「でも本当に開発しちゃったんだから」
京子は、どうしても譲らない。
「これを飲むと、即、透明人間になれるの」
そう言って京子は小さな小瓶を哲也の前に差し出した。
「どう。哲也くん。飲んでみる?」
哲也は、バカバカしいと思いながらも一応その小瓶を受け取った。
「ところで透明人間になれる、といっても服はどうなるの?服を着ていても服も一緒に消えちゃうの?」
哲也が聞いた。
哲也は、漫画に出でくる透明人間の話に矛盾を感じていた。
それは至極当然の矛盾で、人間の体が透明になることはあっても、人間の服まで一緒に消えてしまうというのは、おかしい、と思っていたのである。
「服も一緒に消えちゃうわ」
京子が言った。
「ええー。どうしてー?」
「私もよくその原理はわからないんだけど、薬を飲むと人間の体から発散される、汗の作用によって着ている服も一緒に透明になるらしいの。これは、政府の秘密研究で極秘事項だから、お父さんもあまり教えてくれないの」
ふーん、そうかい、と哲也は訝しそうに小瓶を見つめた。
「ところで、この薬を飲んだら、どのくらいの時間、透明人間になっているの?それとも一度、飲んだら一生、透明人間のままになっちゃうの?」
哲也が聞いた。
「その瓶に入っている薬を全部、飲むと、5時間くらい、透明人間でいるらしいわ。5時間で透明人間の効果が切れて元のように見えるようになるらしいわ。理化学研究所の人たちが実際に薬を飲んでみて実験して、それは確からしいの」
「ふーん。そうなの」
「私も試しに、小瓶1本、飲んでみたけれど、本当に透明人間になったわ。それで、5時間経ったら元のように見えるようになったわ」
京子が言った。
「ふーん。そうなの。ところで、この薬を飲んで透明人間になれるまでには、どのくらいの時間がかかるの?」
「飲んだらすぐに効き出すわ。飲んで1分で完全に消えてしまうわ」
「ふーん。そうなの。じゃあ試しに飲んでみるよ」
ここに至って、哲也は京子の言うことを信じるようになった。
そう言って哲也は京子から渡された小瓶に入っている薬液を全部、飲んでみた。
そして1分経った。
「あっ。哲也くん。今どこにいるの。見えないわ」
哲也は京子の目の前に居るのに、京子の視線は、あたかも目を開いている盲人のように、哲也の方は向いていなかった。
哲也は京子のスカートをめくったり、胸を触ったりした。
「いやー。哲也くん。近くにいるのね。全然、見えないわ。変な事しないで」
そう言いながら、京子は、スカートをおさえたり、胸を手で覆ったりした。
ここに至って哲也は京子の言ったことを信じた。
・・・・・・・・・・・・
その時、ワイワイと話ながら、バレーボール部の女子生徒たちが、部活を終えて更衣室にやってきた。
哲也はせっかちな性格なので、さっそく、透明人間として行動してみようと、彼女たちの更衣室に入ってみた。
京子は、透明人間になれる薬を渡してくれたが、これからも、ずっと渡してくれる、という保障はない。
むしろ政府の極秘の秘密研究のテストなのだ。
そう、おいそれと、何度もくれはしないだろう。
そう思うと、哲也は、今のこの機会に、うんと、やりたい事を思うさまやろうと思った。
・・・・・・・・・・・・・
バレーボール部の女子生徒たちが、ワイワイと喋りながら、更衣室に入ってきた。
「順子のスパイク、すごいわねー」
「あれは、防ぎようがないわよ」
「将来は、プロのバレーボール選手になるんでしょ」
「ふふふ。わかんないわ。そんな将来のこと」
バレーボール部の女子生徒たちは、ワイワイと話しながら、着替え始めた。
着ていた、ブルマーと、ジャージを脱ぎ出した。
哲也は、おそるおそる、そっと、彼女たちに近づいてみた。
しかし、それには大変な勇気が要った。
哲也はバレーボール部員の女子生徒たち、の、間近に立った。
そして、女子生徒たちに、ベロベロバー、してみたり、あっかんべー、してみたり、寸止めのパンチを顔面の直前まで出してみたりした。
しかし、女子生徒たちは、全く何もないかの如く、哲也に反応しない。
女子部員で哲也に視線を向けている生徒は一人もいない。
哲也の存在など、見えていないかの如くである。
これで、ようやく哲也も自分が透明人間になったことを確信した。
(やった。オレは透明人間になった。京子の言ったことは本当だった)
と哲也は確信した。
部活を終えた女子生徒たちは、それぞれ、自分のロッカーの前に立って着替え出した。
順子と桂子は、近く、互いに、反対向きになって、着替え出した。
哲也は順子の背後に回り、順子のスポーツブラを、ペロリと外すと、背後から順子の胸を触って、モミモミと揉んだ。
「いやー。何するの。桂子」
順子は、体の向きを変え、後ろにいる桂子に向かって言った。
順子の大きな悲鳴に驚いて皆が順子を見た。
桂子以外の女子は、順子とは少し離れていたので桂子が順子に一番、近かった。
「どうしたの。順子?」
桂子は、あっけにとられたように、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で順子に聞き返した。
「とぼけないでよ。今、私のブラをめくって、私の胸を揉んだじゃないの」
順子は口を尖らせて言った。
「そんな事してないわ」
桂子は反駁した。
「とぼけないでよ。桂子。今、私のブラをめくって、私の胸を揉んだじゃないの。いやらしい手つきで」
順子は怒鳴るように言った。
「そんなこと、してないわ」
桂子が反駁した。
「じゃあ、誰がしたって言うの?他の人は私に触れる距離にはいないし。あなた以外の誰が触ったって言うの」
順子は口を尖らせて言った。
そして皆を見た。
「ねえー。みんな。今、桂子が、振り返って、私のブラをめくって、胸を揉んだのを見たでしょー」
順子は皆に向かって言った。
皆は、間違いない目撃者なのだから。
しかし皆は首を振った。
「桂子はそんな事してないわ」
「そうよ。私も、あなた達をよく見ていたわけじゃないけど、桂子は体の向きを変えてなんかいないわ」
「私もそうよ」
「私もそうよ」
更衣室に居る女子生徒たちは、全員、順子の訴えを否定した。
「それじゃあ、一体、誰が私のブラをめくって、私の胸を揉んだって言うの?」
順子は狐につままれたような顔で皆に向かって聞いた。
「順子。あなたが、ウソ言ってるとしか思えないわ」
「そうよ」
「そうよ」
部員の皆が順子の訴えを否定した。
順子の訴えを聞く者は誰もいなかった。
「でも私、確かに誰かに胸を触られたんだから・・・・」
順子は仕方なく、そう呟いて黙ってしまった。
(やったー。しめしめ。京子の言ったことは本当だったんだ。オレは透明人間になったんだ)
と哲也は喜んだ。
哲也は、どんな悪戯でもすることが出来る身分になった。
しかし、あまり、派手に悪戯して、学校中に、変な噂が流れるのを、おそれて、それ以上はしなかった。
(しめしめ。いい薬を手に入れたものだ)
と哲也はほくそ笑んだ。
透明人間になれたことをいいことに、うんと好きなことをしてやれ。
どうせバレないんだから。
と哲也は思った。
それで、哲也は服を脱ぎ、シャツもパンツも脱いで全裸になった。
そして、好きな女子生徒の尻の前に行って、クンクン匂いを嗅いだ。
哲也の、おちんちんは激しく勃起した。
哲也は、ハアハアと息を荒くしながら、勃起した、おちんちんを扱き出した。
こんな機会は滅多にない。
京子は、透明人間になれる薬を渡してくれたが、これからも、ずっと渡してくれる、という保障はない。
むしろ政府の極秘の秘密研究なのだ。
そう、おいそれと何度もくれはしない、と考える方が自然だ。
そう思うと、哲也は、今のこの機会に、うんと、やりたい事を思うさまやろうと思った。
哲也は更衣室に居る女生徒、の一人一人、全員に、近づき、鼻先が触れんばかりに体のあちこちの匂いを嗅ぎながら、オナニーした。
裸になって、女子生徒たち、の着替えを間近に見ている、ということに哲也は興奮した。
哲也は、女子生徒たちの体に触れないので、女子生徒たちは、哲也が居る、ということに気づいていない。
たわいもない、お喋りをしている。
哲也はエッチだが、マゾっ気もあって、女子生徒たちに、裸にされて虐められたい、と、いつも思っていたのである。
しかし、もちろん、そんな事こわくて言えない。
なので、それは夢想として楽しんでいたのである。
その夢がまさにかなったのである。
哲也は、女子生徒たちの着替えを見ながら、おちんちん、を扱きながら、何度も、「ああー。いくー」と心の中でさけんで叫んで射精した。
哲也は、女子生徒たちの、一人一人の下に仰向けに寝て、スカートの中を覗いた。
見ることの出来ない、スカートの中のパンティーを見ることに哲也は興奮した。
女子生徒たちは、着替えが終わって、全員が制服を着た。
・・・・・・・・・・・・・
「それじゃあね。さようなら」と言って、女子生徒たちは、去って行くものだとばかり哲也は思っていた。
しかし様子が変である。
女子生徒たち、全員の視線が、裸の哲也に向いている。
哲也が動くと女子生徒たちの視線も哲也についてきた。
明らかに彼女たちは哲也を見ているのだ。
哲也は焦った。
一体、どういうことなんだろうと疑問に思った。
もしかしたら、透明人間になれる薬の効果が切れてしまったのかもしれない、と哲也は思った。
京子は、透明人間になれる薬を飲めば、5時間は透明人間になれると言ったが、また試験中の薬である。
ほんの数人の人に試したら5時間くらい、透明人間になれる効果があるらしいと、わかったらしいが、人の体質によっては5時間もは効かず数分で効果がなくなってしまうこともあるのかもしれないと思った。
迂闊だったと哲也は思った。
透明人間になれる薬の試験は何人の人にして、作用時間の詳細の結果を、もっとしっかり京子に聞いておくべきだったと後悔した。
哲也はあわてて、床に脱いだ自分の服をとろうと手を伸ばした。
すると、「ダメよ。哲也くん」と言って、女子生徒の一人が、哲也の服を取りあげてしまった。
ここに至って、哲也は、今、自分が透明人間ではなく、彼女らに見られていることを確信した。
哲也は発狂せんばかりの精神状態になった。
その時。
ツカツカと、更衣室に京子がニコニコ笑って入ってきた。
「みなさん。お疲れ様でした」
と言って。
哲也には、どういうことなのか、さっぱりわからなかった。
「京子ちゃん。これは一体どういうことなの?」
哲也は、おちんちん、を手で隠しながら京子に聞いた。
女子生徒の皆の視線が裸の哲也に向かっている。
全員が裸の哲也をじろじろ見ている。
「いやーねー。哲也君。裸になったりして」
「哲也君が、そんな、いやらしいことをする生徒だったなんて、知らなかったわ」
「バレなきゃ哲也君は平気で女の人の体を触るのね」
「こういう性格の人が将来、電車の中で痴漢行為をするのね」
女子生徒たちは口々に軽蔑するような口調で哲也に向かって言った。
ここに至って、哲也は、透明人間の薬の効き目が切れたことを完全に理解した。
「ほら。哲也くん。服を返してあげるから着なさいよ」
そう言って女子の一人が哲也にパンツとズボンとワイシャツを渡した。
哲也は急いで、パンツを履き、そしてズボンを履き、ワイシャツを着た。
しかし哲也には、わからないことが一つあった。
彼女らの発言からすれば、彼女らは最初から、着替えを見られたり、体を触られたりされているのを、わかっていたのだ。それなのに、どうして、彼女らは、それが嫌でなかったのか、ということである。
わかっていたのなら、どうして、エッチなことをされたのに、それを黙認するような演技をしたのか?
という疑問である。
「ねえ。みんな。どうして僕にエッチなことをされるのが嫌じゃなかったの?」
哲也は、京子や、みんなに聞いた。
「ふふふ。哲也くんは。わかっていないわね」
京子や、みんなは、哲也を見下したような目で見た。
そして話し出した。
「哲也くん。確かに女は男の子にエッチな事をされるのは嫌よ。でも、それは、女が一人の場合だわ。多くのスケベな男の子達に、取り囲まれて裸を見られたり、一人の男の子でも嫌いな男の子にはエッチなことをされたくなんかないわ。でも、哲也君は真面目な生徒でしょ。そして女にだって、セクシーな姿を男に見られたいという欲求はあるのよ。さっきは、みんなが、哲也君一人に、恥ずかしい姿を見られ、エッチなことをされたでしょ。男一人に対して女は多数だわ。(赤信号みんなで渡れば怖くない)で、みんなが、哲也君一人だけに見られているのなら、恥ずかしさが、薄まるから、恥ずかしくはないのよ。それに哲也君は、一生、この事をみんなに、言いふらすこともしないでしょ。だってそんなことを他人に言ったら哲也くんが恥をかくだけでしょ。だから、哲也君にエッチなことをされても、私たちは恥ずかしくはなかったし、むしろ楽しかったわ」
女生徒達たちは、ふふふ、と笑って言った。
「く、くそー。してやられた」
哲也は、こんなことになるのなら、透明人間になれる、と言われた薬を飲んでも、女生徒たちにエッチなことなんか、しなければ、よかったと、つくづく後悔した。
「ふふふ。哲也くん。これは哲也くんの人間性を試すテストでもあったのよ。最初から、隠しカメラを、4台も色々な角度の所に仕掛けておいて、哲也くんのしたことは、全部、カメラに録画されているわ。これは、哲也くんのした猥褻行為の動かぬ証拠だわ。これを先生に見せれば、哲也くんは退学だし、警察に見せれば、哲也くんは痴漢として、もう社会人失格で、どこの企業にも就職できないし、人生おしまいだわ」
女子の一人が勝ち誇ったように言った。
「そうよ。これからは、哲也くんは、一生、私たちにおびえて生きなきゃならないのよ」
女達は、みな、せせら笑いながら口々に勝ち誇ったように言った。
「く、くそー。そういうことだったのか。してやられた」
哲也は、嘆き歯がみした。
「このイタズラの首謀者は誰なの?京子なの?」
哲也は京子の顔を見た。
京子は、ふふふ、と笑っている。
「私だと思う?」
京子が余裕の口調で聞いた。
「う、うん」
哲也が言った。
京子は、悪戯っぽい性格だから、哲也は京子が首謀者だと思ったのである。
「そうね。確かに、私が、この計画をみんなに話したのよ。でも、みんなも、(うん。面白そうね。やろう。やろう)と言って、全員、賛成してくれたのよ。異論を唱える人は誰もいなかったわ。だから、言い出しっぺは私かもしれないけれど、首謀者は、バレーボール部の女子全員、と言って間違いはないわ」
京子が言った。
「そうだったのか。まんまと、はめられたな。ちくしょう」
哲也は口惜しそうに言った。
「ふふふ。哲也くんに、着替えを見られたり、エッチなことをされて楽しかったわ」
「哲也くん。どうも有難う」
「女の方からは、絶対、言い出せないけれど、女のエッチな願望を叶えてくれて有難う」
女達は口々に勝手なことを言った。
「くそー。してやられたな」
哲也は、あんなこと、しなければ、よかったと、後悔の地獄の中で呟いた。
「でも、哲也くん。そんなに心配する必要もないわよ。ある条件をのむなら、黙っていてあげるわ」
女の一人が哲也に言った。
そう言われても、哲也は後悔地獄の中で、その条件を聞き返す気持ちは起こらなかった。
すると、女は、続けて言った。
「哲也君がこのことを、誰にも言わなければ、そして、哲也くんが、私達も今日のことは、誰にも言わないわ」
「そうよ。本当の所は、この悪戯は、私たちが、哲也くんに仕掛けた悪戯だわ。でも、そんなことを、哲也くんが、先生や警察に言っても信じてくれるはずないでしょ。哲也くんが私たちにした動画だけを見せれば、誰が見ても、哲也くんが、嫌がる私たちに、強引に痴漢行為をしたとしか、思わないわ」
哲也は黙っていたが、その通りだと思った。
もし、彼女達が、警察に動画を見せて、痴漢された、と言われたら、人生おしまいだと思った。
東大文科1類合格。司法試験合格。東大法学部主席卒業。財務省入省。財務省事務次官。10億円の豪邸。美人女子アナとの結婚生活。のエリートコースが、約束されているはずの自分の人生が、非正規雇用のフリーターになってしまうのは耐えられなかった。
「哲也くん。でも、ある一つの条件を聞くのなら、今日のことは黙っていてあげるわ」
女生徒の一人が言った。
哲也は、仕方なく、その条件とやらを、聞いてみる気になった。
「条件って、なんですか?」
哲也は勇気を出して聞いてみた。
ふふふ、と女子たちは思わせ振りに笑った。
「それは。哲也くんが、私達の奴隷となって、私達の言うことは何でも聞くことよ」
女の一人が勝ち誇ったように言った。
哲也は一瞬、迷ったが、それに従うしか、他に方法がなかった。
東大文科1類合格。司法試験合格。東大法学部主席卒業。財務省入省。財務省事務次官。10億円の豪邸。美人女子アナとの結婚生活。のエリートコースを確実に守るには。
「わ、わかったよ。そうするよ」
哲也はしぶしぶ言った。
「ふふふ。わかればいいのよ。そうすれば、この動画は誰にも見せないし、今日のことは秘密にしてあげるわ」
女の一人が勝ち誇ったように言った。
こうして哲也はバレーボール部、女子全員の奴隷となった。
哲也は、バレーボール部のマネージャーとなり、用具の用意、手入れ、コートの掃除、部員のユニフォームの洗濯、おやつの買い物、果ては、練習や試合が終わって、疲れた部員たちのマッサージまで、やることとなった。
哲也は、初めは、面倒くさいなー、嫌だなー、と思っていて、また自分の勉強の時間が、それに割かれることを嫌がったが、元々、好きだったバレーボール部の女子たちである。
彼女たちの面倒を見ることが楽しくなっていった。
練習の後、バレーボール部の女子たちは、毎日、一人づつ、うつ伏せになって、哲也に遠慮なく、
「マッサージして」
と頼むようになった。
哲也は、初めは、面倒くさいなー、と思っていた。
マッサージは、女の体を物理的に揉みほぐすもので、そこには精神の介在が無いから、性的興奮は起こらない。
女はうつ伏せになって哲也に身をまかせた。
哲也がせっせと、ふくらはぎ、から、太腿、背中、肩へと、揉みほぐしていくと、女は、
「ああ。気持ちいいわ」
と、目を瞑って言った。
最初は、雑用を命じられることを嫌がっていた哲也だったが、元々、好きだったバレーボール部の女子たちである。
彼女たちの面倒を見ることに楽しさを感じるようになった。
それはマゾヒズムではなく、彼女たちが幸福になってくれることが、本当に哲也の喜びになっていったからである。
他校との対抗試合では、哲也は、「頑張れー。しっかりー」と声を振り絞って彼女たちを応援した。
もはや、哲也は、彼女たちの喜ぶ顔、彼女たちの幸福が、自分の幸せになっていった。
バレーボール部の部員たちも、哲也の念入りな、丁寧なマッサージの効果が効いたのか、ぐんぐん技術が向上していった。
そして、ついに、青葉台高校バレーボール部は全国優勝した。
哲也は嬉しかった。
「おめでとう。みんな」
哲也は泣きながら、みなを祝福した。
「ううん。お礼を言わなくちゃならないのは私たちの方だわ。哲也くんのマッサージのおかげで、筋肉がほぐれて、そのため最高のコンディションで練習や試合をすることが出来たから勝てたんだわ。本当にありがとう」
とバレーボール部の女子たちは、哲也に感謝の言葉を言った。
そして、彼女たちは、全国優勝した時、真っ先に哲也を胴上げした。
もう、哲也とバレーボール部の女子たちは、心が通じていて、一心同体のような心境になっていた。
「哲也君。ごめんね。哲也くんの貴重な勉強の時間を、私たちのために、浪費させてしまって」
「全国優勝も出来たし、もう哲也くんは、バレーボール部のマネージャーや、雑用はやらなくてもいいわ。ありがとう」
バレーボール部の女子たちは、みな、哲也に感謝して頭を下げた。
「いや。僕も最初は、時間を奪われるのが嫌だったけれど、みなに尽くしているうちに、やりがい、と、楽しさを感じるようになってね。毎日が気分が良かったから、勉強もはかどったよ」
と哲也は言った。
全国優勝した後は、彼女たちは部活をやめ、受験勉強に専念するようになった。
哲也も、バレーボール部のマネージャーを辞め、受験勉強に専念するようになった。
そして、哲也は東大文科Ⅰ類に合格した。
そして、在学中に司法試験にも合格した。
そして、東大法学部を主席で卒業し、財務省に入省した。
・・・・・・・・・・・・・
京子は青葉台高校を卒業すると青山学院大学に入学し、そして成績優秀で卒業し、TBSに入社した。
京子は絶世の美人女子アナとして、世間の憧れの的となった。
女は、その容貌の最も美しい時期がいつ来るかは、人によって異なるものである。
幼少の頃、や、小学生の頃、可愛い子は、その時が、絶頂期なので、それ以上、育ってしまうと、美しいが、月並み程度の美しい容貌にとどまる、ということはあるものである。
それと違って、中学や高校の頃は、「美しさ」の芽がまだ開花せず、月並みな容貌の子が、20代を越してから、「美」が開花して、絶世の美女になる、ということもあるのである。
・・・・・・・・・・・・
ある日のことである。
哲也は、午前中の仕事が終わって、財務省本庁舎のビルの中の食堂で、一人、昼食のスパゲティーを食べていた。
すると、ツカツカとパリッとしたグレーのスーツを着た女性が、哲也のテーブルにやって来た。
「相席よろしいでしょうか?」
美しい声が聞こえた。
哲也はウブなので、顔を上げず、少し顔を赤らめながら、
「ええ。どうぞ」
と答えた。
女性は哲也と向き合うようにテーブルに着いた。
「あの。私。TBSの者です。政府の経済政策について取材に来ました。少しお話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」
と女性は聞いてきた。
「え、ええ。構いませんが・・・」
そう言って、哲也は恐る恐る顔を上げた。
吃驚した。
なぜなら、女性は京子だったからである。
京子と会うのは高校卒業、以後、久しぶりのことである。
京子は、ニコニコ笑いながら、
「哲也君。お久しぶり」
と挨拶した。
「や、やあ。京子ちゃんじゃないか。お久しぶり。奇麗になったね。毎日、夜11時のTBSのニュースで見ているよ」
嬉しさと、懐かしさで、哲也の全身の細胞の新陳代謝は活発になり、心臓は早鐘を打ち、脳からは、ドーパミンが多量に分泌された。
「取材もいいけど、京子ちゃんも何か注文しなよ」
「ええ」
言われて、京子は哲也と同じ、スパゲティーを注文した。
取材というより、それは、久しぶりのデートとなった。
哲也と京子の二人は、高校卒業後から後の大学生活や社会人になったことなどで、楽しい話に話題は尽きなかった。
「今週の日曜、ディズニーランドに行きませんか?哲也さんと行きたいんです」
京子が言った。
「ええ。喜んで」
哲也は二つ返事で答えた。
・・・・・・・・・・・・
その週の日曜日。
哲也と京子はディズニーランドに行った。
二人とも、童心に帰って無邪気にはしゃいだ。
その日の夕方。
哲也は京子にプロポーズした。
「京子さん。どうか僕と結婚して下さい」
哲也は顔を赤くして言った。
「ええ。喜んで」
京子は満面の笑顔で答えた。
哲也の告白には、少しのためらいも無かった。
京子が哲也に会いに来たことが、もう、それが、京子の哲也に対する、プロポーズであることは、容易に察っされたからである。
こうして二人は結婚した。
絶世の女子アナと結婚するという、哲也の計画も、これで果たされた。
結婚式には、青葉台高校の女子バレーボール部の部員が全員きた。
こうして哲也と京子の二人は結婚した。
哲也と京子は幸せに暮らしている。


2026年2月16日(月)擱筆