第3話 元カノ
「久しぶり。文化祭一緒に回ろうって約束覚えてる?」
空気が止まる。
陽は少し困った顔をした。
「それ、付き合ってたときの話だろ?」
「でも私、まだ好きだよ?」
まっすぐな視線。
私は、関係ない。
そう思うのに。
胸の奥が、痛い。
「朝比奈、先帰るね」
自分でも驚くくらい冷たい声だった。
「待って!」
陽が追いかけてくる。
「誤解しないで」
「してない」
嘘だ。
「俺、今好きな人いる」
呼吸が止まる。
「それ、誰?」
聞きたくないのに。
陽は、迷わなかった。
「朝比奈だよ」
⸻
第4話 文化祭当日
文化祭当日。
元カノはあからさまに凛に張り合ってくる。
「クールぶってるだけじゃない?」
その言葉は、昔の自分を刺す。
私は冷たいんじゃない。
怖いだけ。
人に期待するのが。
準備中、手が震える。
「大丈夫?」
陽がそっと手を包む。
温かい。
「俺は朝比奈が好き。
誰に何言われても変わらない」
その言葉に、氷みたいだった心が少し溶ける。
⸻
第5話 氷が溶ける日(最終話)
文化祭の最後。
校舎裏で花火の音が上がる。
「朝比奈」
呼び止められる。
逃げない。
「俺と付き合ってほしい」
まっすぐな目。
怖い。
でも——
「……私、可愛くないよ」
「知ってる」
「素直じゃないし」
「知ってる」
「それでもいいの?」
陽は笑う。
「それが好きなんだよ」
胸が、いっぱいになる。
人生で初めて。
自分から、誰かの手を握った。
「……よろしく」
その瞬間。
陽が、少しだけ驚いて。
そして、嬉しそうに笑った。
「今、笑った」
「うるさい」
でも。
氷みたいだった私の心は、
確かに溶けていた。
——完——
「久しぶり。文化祭一緒に回ろうって約束覚えてる?」
空気が止まる。
陽は少し困った顔をした。
「それ、付き合ってたときの話だろ?」
「でも私、まだ好きだよ?」
まっすぐな視線。
私は、関係ない。
そう思うのに。
胸の奥が、痛い。
「朝比奈、先帰るね」
自分でも驚くくらい冷たい声だった。
「待って!」
陽が追いかけてくる。
「誤解しないで」
「してない」
嘘だ。
「俺、今好きな人いる」
呼吸が止まる。
「それ、誰?」
聞きたくないのに。
陽は、迷わなかった。
「朝比奈だよ」
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第4話 文化祭当日
文化祭当日。
元カノはあからさまに凛に張り合ってくる。
「クールぶってるだけじゃない?」
その言葉は、昔の自分を刺す。
私は冷たいんじゃない。
怖いだけ。
人に期待するのが。
準備中、手が震える。
「大丈夫?」
陽がそっと手を包む。
温かい。
「俺は朝比奈が好き。
誰に何言われても変わらない」
その言葉に、氷みたいだった心が少し溶ける。
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第5話 氷が溶ける日(最終話)
文化祭の最後。
校舎裏で花火の音が上がる。
「朝比奈」
呼び止められる。
逃げない。
「俺と付き合ってほしい」
まっすぐな目。
怖い。
でも——
「……私、可愛くないよ」
「知ってる」
「素直じゃないし」
「知ってる」
「それでもいいの?」
陽は笑う。
「それが好きなんだよ」
胸が、いっぱいになる。
人生で初めて。
自分から、誰かの手を握った。
「……よろしく」
その瞬間。
陽が、少しだけ驚いて。
そして、嬉しそうに笑った。
「今、笑った」
「うるさい」
でも。
氷みたいだった私の心は、
確かに溶けていた。
——完——
