透明なクリスマスは群青色がよく映えた

「ぎこちない顔で、なんだか七五三みたい」

百貨店街のイルミネーション。
透明なクリスマスの空気に、群青色がよく映える。

淡い光に囲まれて、彼女は幻想的に写るはずだった。

一眼カメラのモニターに映った画像を見て、彼女は笑った。
高校の教室、隣の席から見慣れた、あの明るい顔。

彼女の眩しさでさえ、光量は補えなかった。
暗い写真は、僕の技術不足が原因だ。

「ごめん」と、独り言のように呟く。

「悪いと思うなら、知恵を出せ。カメラマンになりたいんでしょ」

そう言って、僕の額を長い指で軽く弾いた。

いまの僕には、彼女の優しさが痛い。
励ましの言葉が、毒のように体をめぐる。
いっそ、全てを否定されたい。

誰かを模倣した構図。
モチーフも主張もない写真は、中身のない自分を見ているようで嫌気がさす。

それでも教科書的な正解にすがって、街路灯から光を拾った。
シャッタースピードを落として、露光を上げる。
何枚か試し撮り。
言い訳のできない光が、彼女をまっすぐ照らした。

ファインダー越しの横顔は、ただ静かに遠くを見ていた。

葉の代わりに電飾で彩られた木々の枝が、少しだけ揺れる。
ビルの間を、冷たい風が抜けた。

乱れた髪を、彼女はすぐに整える。
かきあげられた髪の隙間から、小さなフープのイヤリングがのぞく。
その一瞬を切り取るように、無意識のうちにシャッターを押した。

教室では見せない横顔。
輪郭をなくした青い光の粒が、彼女を溶かすように包む。

その一枚だけで、僕はカメラを下ろした。

二人で小さい画面をじっと覗き込む。
何も言われない。
もし否定されたら——。

「いいじゃん。プロみたいだね」

その一言で、凍っていた胸の奥がほどけ、
一拍遅れて心臓が鳴った。

「ねぇ、もう一枚撮ってよ」

彼女の声で、もう一度カメラを構える。
目に映る眩しい光を、レンズに収めて。