ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜

 スウェットを着て髪を適当に結んだロゼリアと。
 水色のドレスに身を包み、ティアラを載せた私。

「……お姫様、みたい」

 鏡の中の私は、まるで別人のようだった。
 ドレスのレースが肌をくすぐる。背筋を伸ばさないとティアラが落ちそうで、自然と姿勢が良くなる。

 これなら、本当に王女さまに見えるかもしれない。

「完璧だわ。サイズもぴったりね」

 ロゼリアは満足そうにうなずくと、私の背中をバンと叩いた。

「じゃあ、行ってきて。鏡を通って、向こう側へ」
「えっ、あの中に入るの?」
「怖がらないで。目をつぶっていればすぐよ」

 ロゼリアに手を引かれ、私は、さっきからずっと波打ち続けている鏡の前に立つ。
 心臓が早鐘を打っている。
 この一歩を踏み出したら、もう引き返せない。
 でも、不思議と後悔はなかった。

「いってらっしゃい、もう一人の私」

 ロゼリアの声に背中を押され、私は目を閉じて鏡の中へと飛び込んだ。