ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜

 彼女の手の温かさが伝わってくる。
 自称?王女さまが、こんな村人Aの私に頭を下げて、助けを求めている。
 ふと、さっきまでの自分の気持ちがよみがえった。
 
 ――変わりたい。違う自分になりたい。

 もし、この子の代わりになれば。
 一日だけ、私は地味で目立たない小鳥遊美亜(たかなしみあ)じゃなくて……王女ロゼリアになれるってこと?

「……本当に、一日だけ?」

 気付いたときには、そんな言葉が口をついて出ていた。
 ロゼリアの顔がパッと明るくなる。

「ええ、約束するわ!」

「……わかった。やって、みる」

「ありがとう! そうと決まれば善は急げよ!」

 ロゼリアはいきなり自分のドレスの背中のリボンをほどき始めた。

「え、ちょ、ちょっと!?」

「何よ、入れ替わるんでしょ? 服も交換しなきゃ!」

 慌てる私をよそに、ロゼリアはテキパキとドレスを脱ぎ捨て、私の地味なスウェットを奪い取っていく。

 部屋の中で繰り広げられる、大慌ての着替え大会。
 数分後。
 姿見の前には、見慣れない二人が立っていた。