差し出された、白い手袋に包まれた大きな手。
私は心臓がドキドキするのを感じながら、おそるおそる手を重ねた。
「では、立ってください。ゆっくりで構いません」
レオンハルトに支えられながら立ち上がる。
彼の手は温かくて、とても優しい。
「ワルツの基本は、三拍子です。いち、に、さん。いち、に、さん」
レオンハルトが静かに数えながら、私の腰にそっと手を添えた。
「ひゃっ!?」
思わず声が出てしまう。
「……大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫! び、びっくりしただけ!」
顔が熱い。
こんな至近距離で男の人と向き合うなんて、人生初すぎる。
しかもレオンハルトは背が高いから、見上げる形になって、彼の整った顔が目の前に……。
「では、私のリードに合わせて。いち、で右足を引いて。に、で左足。さん、で揃える」
レオンハルトが優しく導いてくれる。
私は言われた通り、ぎこちなく足を動かした。
「あ、あれ……?」
「そうです。その調子です」
レオンハルトの手が、確実に私を支えてくれている。
足に体重をかけすぎないように、彼が上手くバランスを取ってくれているんだ。
「いち、に、さん。いち、に、さん」
繰り返しのリズム。
最初はぎこちなかったステップが、少しずつ滑らかになっていく。
「……お上手です、ロゼリア様」
レオンハルトが微笑んだ。
その笑顔があまりにも眩しくて、私は思わず足を踏み外しそうになる。
「わっ!」
「おっと」
瞬時に、レオンハルトの腕が私の背中を支えた。
ほとんど抱きしめられているような体勢。
「……す、すみません」
「いえ。……私こそ、緊張させてしまったようで」
レオンハルトの耳が、ほんの少し赤くなっている。
もしかして、彼も緊張してる……?
その時、バァンと扉が開いた。
