ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜

 私の言葉に、三人が驚いて顔を上げた。

「ロゼリア様!?」

「私は、予定通り晩餐会に出る。中止になんてしない」

「正気ですか!? 相手はあなたの命を、こんなにあからさまに狙っているんですよ!?」
 
 ユーリウスが珍しく声を荒げた。

「だからこそだよ」

 私は膝の上で拳を握りしめ、みんなの顔を見渡した。

「ここで逃げたら、相手は『王女は恐れをなした』って思うし、もっと調子に乗るでしょ。それに、今日失敗したなら、必ず次を狙ってくる。……だったら、今夜が決着をつけるチャンスじゃない?」

 心臓はものすごくどきどきしている。
 足も少し震えている。

「相手は、私が矢で死ななかったことを知っている。だとしたら、晩餐会では別の手を使ってくるはず」

「……たとえば、毒、ですね」
 
 ユーリウスが即答した。

「食事や飲み物に毒を混ぜる。晩餐会での暗殺の常套手段です」

「そう。それを逆手に取るの」

 私はちょっとだけ演技がかって――ロゼリアみたいに不敵に笑ってみせた。

「現行犯逮捕、ってやつよ。毒を入れた瞬間、あるいは毒入りのグラスを渡してきた瞬間を押さえる。それなら言い逃れできないでしょ?」

 三人は呆気にとられたように私を見ていたが、やがてライトがプッと吹き出した。

「あはは! すごいよロゼリア様! それって自分を餌にするってこと!? 肝が据わりすぎだよ!」

「……確かに。中止にするより、その方が合理的ではありますね」

 ユーリウスも眼鏡の位置を直しながら、口元を緩めた。

 レオンハルトだけは、眉をさげて心配顔。

「ですが、万が一ということも……」

「レオンハルト」

 私は彼の手を取った。

「騎士の、あなたが、あなたたちが守ってくれるんでしょ?」

「……ッ」

 私の言葉に、彼は息を呑んで、私を静かに見つめ返し、それから深く、深く頭を下げた。

「この命に代えても、傷一つ付けさせません」

「よし! じゃあ作戦会議だ!」