ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜

「問題なのは、文章ではありません」

 レオンハルトの声が、怒りで低く唸る。

「この矢羽の色……そして、この紙の透かし……です」

 彼は紙を太陽の光にかざした。
 白い紙の中に、うっすらと「絡みつく双頭の蛇」の紋章が浮かび上がった。

「へび……かな?」

「ええ……この紋章を使用できるのは、王宮内でもごく一部の人間だけです」

 レオンハルトは、矢を握りしめてギリッと歯噛みした。

「財務を取り仕切り、裏で私兵を動かしていると噂される男……宰相ジョナルゼキオン」

「宰相……?」
 
 宰相って、なんか偉い人だよね。王様の隣とかに立っている。

「どうして、ロゼ……私に?」

「来月、正式に王位継承権第一位として認められる儀式がございます。それに対する警告、かと」

 レオンハルトが、とても悔しそうに説明してくれた。

「宰相は、自分の操り人形になる遠い親戚の王子を、王にしようと画策しています。このような形でお伝えするのは、非常に心苦しいですが、聡明で気高いロゼリア様は、彼にとって一番の邪魔者なのです」