ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜

「……!」

 レオンハルトが鋭く反応し、剣を構える。
 けれど、そこには誰もいなかった。
 落ちてきたのは、一本の矢。
 さっきの襲撃で、高く打ち上がりすぎて、迷路の中に落ちてきた流れ矢のようだった。

「……お待ちください」

 レオンハルトが、私を庇うような姿勢のまま、その矢を拾い上げる。
 矢を手にした彼の表情が、途端に険しく歪んだ。

「ロゼリア様。これを見てください」

「え……?」

 恐る恐る、近づいて、レオンハルトの示す先に視線を落とす。
 真っ黒な軸に、紫色の羽根がついた奇妙な矢だった。
 そして、軸の部分には白い紙が小さく巻き付けられている。

「手紙……とか?」  
 
 なんか時代劇みたいなので、見た事ある。 
 レオンハルトが、慎重な手つきで紙をほどく。
 そこには、赤いインクで、こう書かれていた。

『偽りの王女に、死の口づけを』

 ゾッとして、背筋が凍りついた。

「偽りの、王女……?」

 えええ、バレてる?
 私がロゼリアと入れ替わってるってこと?

 いや、違うよね。
 そうだとしたら情報が早すぎる。
 私はレオンハルト達三人くらいとしかまともに会話していないし。
 たぶん、私がロゼリアじゃないって気が付いているのは、ユーリウスだけだと思うし。

 これは……もしかして、ロゼリア自身が偽物扱いされているということなのかな?