ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜

「えっ……も、目的って?」

「とぼけないでください。今日のあなたは明らかに異常だ。レオンハルトの怪我を気遣い、ライトのガラクタを褒め称える。あのプライドの高いロゼリア様が、そんなことをするはずがない」

 心臓が早鐘を打つ。
 これは……バレてる。
 完全に疑われてる。
 どうしよう。
 ここで、ロゼリアと美亜は入れ替わりましたって言ったら?
 いや、駄目駄目。
 ロゼリアは確か、国家機密だって言っていた。
 私が勝手に喋ったら、彼女の計画が台無しになるかもしれない。
 それに、不法侵入者として牢屋に入れられるかも……。

「き、気まぐれだって言ったでしょ! たまたま、そういう気分だったの!」

 精一杯、ロゼリアをイメージしながら、強気っぽい口調で言い返す。
 ユーリウスは無言で私を見下ろしている。

 その視線の冷たさに、足が震えてくる。

「……そうですか。気まぐれ、ですか」

 彼は一瞬天を仰いで、ため息を吐くと、近くの本棚から一冊の古い本を抜き出した。
 革表紙の、立派な書物だ。

「では、確認させていただきましょう。……この本、覚えていますか?」

「え?」

「先週、あなたが……内容が退屈すぎる、と言って、暖炉に放り込もうとした禁書です。私が必死で止めたのを覚えていますよね?」

 試されている。

 私は脂汗をかきながら、必死に記憶を検索する――なんてできるわけがない。

 ロゼリアのメモにも、そんなことは書いていなかった。
 どっちが正解?
 覚えてるふりをするべき?

「も、もちろん覚えてるわよ! あー、あれね! 本当に退屈な本だったわ! なんでまだ並んでいるの? 早く捨ててきて」