「変わりたいなぁ……」
もしも、魔法みたいに違う自分になれたら。
誰からも好かれる、自信満々の女の子になれたら。
そんな子供っぽい空想をした、その時だった。
ピカッ。
不意に、鏡の表面が鋭く光った。
「……え?」
夕日はとっくの昔に沈んでいる。
光が反射するはずなんてない。
私がおそるおそる顔を近づけると、硬いはずの鏡面が、まるで水面のようにゆらゆらと波打っていた。
中心から外側へ、光の波紋がじわりと広がっていく。
――こっちへ。
どこからか、風の音に混じって声が聞こえた気がした。
心臓が大きく跳ねる。
怖い。
でも、鏡から目が離せない。
ゆらゆらとした波紋はどんどん大きくなり、渦を巻き始める。
「ちょっと、そこのあなた! 出口からどいて! 危ないわよ!」
鏡の中から、はっきりとした少女の声が響いた。
「え、うわっ!?」
私がのけぞった瞬間、鏡の中から、何か、が勢いよく飛び出してきた。
ドンッ!
激しい衝撃が走り、私は床に突き飛ばされる。
「きゃあっ!」
「いたっ……!」
二人分の悲鳴が重なった。
お尻を打った痛みに顔をしかめながら、私は目を開ける。
「な、なに……? 誰……!?」
