混乱したまま月曜日を迎えたが、頭の中はすっからかんで、何も考えられない。
恋なんてあるはずない、こんな私に春が来るわけないと何度も言い聞かせて心を落ち着かせてきたが、それにももう限界が来てしまいそうだ。
「翠、おはよ!」
あっという間に学校についていて、如月に声をかけられた。
「お、はよ…」
あのことを意識してしまって声が小さくなる。
「声ちっちゃ!なんかあった?」
彼は無邪気な顔で聞いてくる。
言えるわけないでしょ!と思いながらいつも通りの対応をする。
「いや、別に」
「絶対なんかあるじゃん」
彼は勘がいいのか、すぐに私の嘘を見破った。
「顔赤いし、目合わせてくれないし」
私は隠し事や感情を隠すのが下手くそだ。
すぐに顔に出してしまう。
「…もしかして、俺のこと嫌いになった?変なメールしたから?」
彼は心配そうに聞いてきた。
「そういうわけじゃないけど、まあ、色々?」
誤魔化して如月の元から逃げるように廊下に出た。
卑怯だとは分かっていたけれど、今の私にできる最大限の隠し方だ。
如月は私の気持ちに気づいてしまっただろうか。
「ねえ、なんでよ」
寂しそうな声で彼が私を引き留めてくる。
彼がきゅっと掴んだ私の袖口から、彼の表情がわかった気がした。
「ごめん、ちょっと色々あって。でも、全然関係ないから、如月には」
私は如月の顔を見ずに答えた。
「…わかった」
彼は私の袖口を離し、ゆっくりと教室に戻っていった。
私は本当に恋をしてしまったのだろうか。
今まで全くわからなかった感情が急に痛いほどにわかる。
小説や漫画を読んでも感じなかったあの心の痛みというものが、胸が締め付けられるほどに伝わってくる。
なんで、なんで今。
こんなにも胸が苦しいんだろう。
なんでこんなにも、如月のことを考えちゃうんだろう。
如月は私の頭と心の中を掻き乱す、狂わせる。
心臓がぎゅうっと締め付けられたかのように痛む。
彼に嘘をついた。
たったそれだけで、こんなにも胸が痛むことを、私は知らなかった。
如月は知っているのだろうか。
この気持ちを、辛さを。
この感情に気づいたのは昨日のはずなのに、ずっと前から苦しんでいたような気がした。
この日を境に、如月といる時間はとてつもなく短い時間だと感じるようになった。
いつもの会話も、いつもの風景も、横顔も。
全てが愛おしく感じた。
一週間がたって、あっという間に来週が遊びにいく日になっていた。
前とは違い、遊びに行く日が楽しみでたまらなくなった。
あんなに面倒くさがって返信をしていた私が馬鹿らしい。
でも、自分から遊びに誘うのはなんだか照れ臭いし、できない気がした。
直接的な話はしなくても、勘のいい如月なら遠回りな話し方をしても感じ取ってくれるだろうと思ったので、テーマパークについての話題を出してみた。
「そういえばさ、前に最近話題のアニメのテーマパーク開いたよね。あれ行きたいなー」
自分にしては自然に話をふれたほうだと思う。
「どこそれ。俺あんまり外行かないからわかんない」
思っていたのと全然違う回答が返ってきたので、思わずびっくりする。
「というか、テーマパークとかだと困ることあるくない?」
如月は自分の席の近くにいたアレルギー持ちの男の子に話しかける。
「確かになー。アレルギーあるだろ、お前も」
え?と口に出しかけて急いで口を紡いだ。
如月がアレルギー持ちだなんて、知らなかった。
いや、知っていた…のかもしれない。
給食の時、たまにいなくなるなと思っていたら、きっとそれだったのだろう。
「お前勝手にいうなよー、知らない奴だっているんだから」
私はその知らない奴の1人だった。
そのことにショックで立ち尽くしてしまう。
「ごめんて。でも、給食の時に職員室に荷物取りに行って食べてるし、わかるだろ」
「それはそうか」
如月は笑っているが、私はそれどころではなかった。
後ろの席だから気づかなかったというのもあるだろうが、それでも悔しかった。
好きなはずなのに。
「あ、そうだ。結局どこ行く?来週」
やっと本来の目的にたどり着いてくれて、私はホッとする。
「どこでも。ていうか、覚えてたんだ」
いつも通りのちょっとクールな私を演じて対応する。
「一番困るー。でも、あのどこだっけ。前言ってたところあるじゃん?あそこ行きたい」
如月が行く場所を決めてくれるのはありがたかった。
「えー、なに。お前ら付き合ってるん?」
ここで思わぬ邪魔が入った。
龍さんだ。
彼はいつも人の邪魔をしたり、授業中にふざけたりする、いわゆる問題児である。
「別に良くね?だって俺たちベストフレンドだから」
なんてことをしゃべりながら如月が笑う。
ベストフレンドか…
少し寂しくなった。
友達以上の関係にはなれないのだろうか。
恋人にはなれないのだろうか。
いつまで経っても、彼氏として如月の横顔を見ることはできないのだろうか。
そう思うだけで、さっきよりも胸が苦しくなった。
恋なんてあるはずない、こんな私に春が来るわけないと何度も言い聞かせて心を落ち着かせてきたが、それにももう限界が来てしまいそうだ。
「翠、おはよ!」
あっという間に学校についていて、如月に声をかけられた。
「お、はよ…」
あのことを意識してしまって声が小さくなる。
「声ちっちゃ!なんかあった?」
彼は無邪気な顔で聞いてくる。
言えるわけないでしょ!と思いながらいつも通りの対応をする。
「いや、別に」
「絶対なんかあるじゃん」
彼は勘がいいのか、すぐに私の嘘を見破った。
「顔赤いし、目合わせてくれないし」
私は隠し事や感情を隠すのが下手くそだ。
すぐに顔に出してしまう。
「…もしかして、俺のこと嫌いになった?変なメールしたから?」
彼は心配そうに聞いてきた。
「そういうわけじゃないけど、まあ、色々?」
誤魔化して如月の元から逃げるように廊下に出た。
卑怯だとは分かっていたけれど、今の私にできる最大限の隠し方だ。
如月は私の気持ちに気づいてしまっただろうか。
「ねえ、なんでよ」
寂しそうな声で彼が私を引き留めてくる。
彼がきゅっと掴んだ私の袖口から、彼の表情がわかった気がした。
「ごめん、ちょっと色々あって。でも、全然関係ないから、如月には」
私は如月の顔を見ずに答えた。
「…わかった」
彼は私の袖口を離し、ゆっくりと教室に戻っていった。
私は本当に恋をしてしまったのだろうか。
今まで全くわからなかった感情が急に痛いほどにわかる。
小説や漫画を読んでも感じなかったあの心の痛みというものが、胸が締め付けられるほどに伝わってくる。
なんで、なんで今。
こんなにも胸が苦しいんだろう。
なんでこんなにも、如月のことを考えちゃうんだろう。
如月は私の頭と心の中を掻き乱す、狂わせる。
心臓がぎゅうっと締め付けられたかのように痛む。
彼に嘘をついた。
たったそれだけで、こんなにも胸が痛むことを、私は知らなかった。
如月は知っているのだろうか。
この気持ちを、辛さを。
この感情に気づいたのは昨日のはずなのに、ずっと前から苦しんでいたような気がした。
この日を境に、如月といる時間はとてつもなく短い時間だと感じるようになった。
いつもの会話も、いつもの風景も、横顔も。
全てが愛おしく感じた。
一週間がたって、あっという間に来週が遊びにいく日になっていた。
前とは違い、遊びに行く日が楽しみでたまらなくなった。
あんなに面倒くさがって返信をしていた私が馬鹿らしい。
でも、自分から遊びに誘うのはなんだか照れ臭いし、できない気がした。
直接的な話はしなくても、勘のいい如月なら遠回りな話し方をしても感じ取ってくれるだろうと思ったので、テーマパークについての話題を出してみた。
「そういえばさ、前に最近話題のアニメのテーマパーク開いたよね。あれ行きたいなー」
自分にしては自然に話をふれたほうだと思う。
「どこそれ。俺あんまり外行かないからわかんない」
思っていたのと全然違う回答が返ってきたので、思わずびっくりする。
「というか、テーマパークとかだと困ることあるくない?」
如月は自分の席の近くにいたアレルギー持ちの男の子に話しかける。
「確かになー。アレルギーあるだろ、お前も」
え?と口に出しかけて急いで口を紡いだ。
如月がアレルギー持ちだなんて、知らなかった。
いや、知っていた…のかもしれない。
給食の時、たまにいなくなるなと思っていたら、きっとそれだったのだろう。
「お前勝手にいうなよー、知らない奴だっているんだから」
私はその知らない奴の1人だった。
そのことにショックで立ち尽くしてしまう。
「ごめんて。でも、給食の時に職員室に荷物取りに行って食べてるし、わかるだろ」
「それはそうか」
如月は笑っているが、私はそれどころではなかった。
後ろの席だから気づかなかったというのもあるだろうが、それでも悔しかった。
好きなはずなのに。
「あ、そうだ。結局どこ行く?来週」
やっと本来の目的にたどり着いてくれて、私はホッとする。
「どこでも。ていうか、覚えてたんだ」
いつも通りのちょっとクールな私を演じて対応する。
「一番困るー。でも、あのどこだっけ。前言ってたところあるじゃん?あそこ行きたい」
如月が行く場所を決めてくれるのはありがたかった。
「えー、なに。お前ら付き合ってるん?」
ここで思わぬ邪魔が入った。
龍さんだ。
彼はいつも人の邪魔をしたり、授業中にふざけたりする、いわゆる問題児である。
「別に良くね?だって俺たちベストフレンドだから」
なんてことをしゃべりながら如月が笑う。
ベストフレンドか…
少し寂しくなった。
友達以上の関係にはなれないのだろうか。
恋人にはなれないのだろうか。
いつまで経っても、彼氏として如月の横顔を見ることはできないのだろうか。
そう思うだけで、さっきよりも胸が苦しくなった。
