翌日から学校で通常授業が始まった。
塾で予習していたので、どの教科もわからない部分はなかったので安心する。
三時間目の数学が終わり、教科書とノートを片付け始める。
「なんこれ、全くわかんない」
蒼さんは昨日と同じように笑っていて、勉強ができないことに対して全く危機感がないようだった。
私はそんな姿を見て、ある意味羨ましいなと皮肉を心の中で呟く。
「私もわかんない。翠ならわかるでしょ?」
由奈が私に話を振る。
またこの話だ。
ため息が出そうになる。
由奈たちもきっと、悪気はないということはわかっているが、それでもイラッとしてしまう。
「わかるけど、説明できないかも」
私は笑って誤魔化す。
まだ新しい班になってから時間も経っていないので、班のメンバーやクラスのみんなに悪い印象は与えたくない。
「わかるんなら説明できるでしょー。だって、翠さんって天才でしょ?」
蒼さんがそんなことを言う。
天才、という言葉に私の中で何かが音を立てて引っ掛かる。
私は思わず言い返した。
「私だって天才じゃないんだから、ちょっとは自分で考えてみたらどう?」
勝手に感情がこもってしまって、思っていたよりも冷たく尖った声が出た。
やってしまったと思ったが、言い直そうという感情は湧かなかった。
幸い、他のクラスメイトの耳には届いていなかったようなので、私はほっと胸を撫で下ろした。
私の声に驚いたのか、由奈が驚いたように目を見開き、一瞬の沈黙が流れた。
「まあ、そうだよね」
そんな沈黙を破ったのは、蒼さんだった。
「天才の俺がわかんないなら、しゃーないか」
よくわからない回答をして、その話は終わった。
楽しい雰囲気を壊してしまって由奈には申し訳ないことをしたなと思いながら、自分の席で次の授業の準備をする。
次の国語の授業では、さっきのことなどなかったように楽しげに話をしていた。
「昨日のテレビがさ…」
「昨日野球の練習でさ…」
また関係のない話をしていると思いながら、自分は目の前の黒板に集中する。
高校進学は親に急かされて意外と本気ではあるので、内申点を下手に落とすわけにはいかないのだ。
今日もまた、早く帰りたいということばかりを考えて、時計を何度も何度も見ていた。
次の日からの授業も、蒼さんは自分のことばかりを話していた。
授業に関係のないことを話したり、自分の自慢話をしたり。
なんだこいつ、と思いながらも、一応聞いてはいた。
どうやら、由奈と蒼さんは意気投合したようで、休み時間もいつも話していた。
2人の仲良しを観察しながら過ごすこと二ヶ月。
蒼さんとはタメ口で程度では話せるようになり、勉強も最低限は教えてあげるようになった。
最初は教えてもまともに聞いてくれなかったのだが、好きな教科なら素直に飲み込んで実行してくれるようになった。
でもやっぱり、彼は自分のことばかりだ。
自分のタイミングで聞いてきて、嫌いな教科の問題はわからなければ即放棄。
いまだになんだこいつ、と思わせてくる。
もうすぐ夏休みなので、しばらくは話さなくてもいいかもと思って、気が楽になった。
と思ったが、私はこの後、それが大間違いだったということに気付かされるのだった。
夏休みに入ると、毎日蒼さんから連絡が来た。それも一日に何度も。
「今日何時間勉強した?」
「今日は3時間やった!すごくね?」
「俺、夏休み勉強ガチるわ!」
「夏休みの勉強時間の合計、競争しよう!」
毎日勉強に関する話が送られてきて、勉強していないと嘘偽りの答えを送らなければいけなくなるので、私も毎日のように勉強をした。
どうせ蒼さんは勉強していないんだろうけど、夏休み明けのテストであっと言わせてやろうと思い、私はさらに燃えた。
塾に行く回数が増え、やる気が起きなかった毎日から抜け出した。
夏休みが半分ほど終わった頃、由奈から一件の通知が来ていた。
「蒼さんって、なんか勉強頑張ってるっぽいね。ちょっと焦りかも(笑)」
蒼さんは連絡するだけしているのかと思っていたから、そのメッセージは私を驚かせた。
「そうなの?口先だけっていうか、メールだけかと思ってた」
本音を送って電源を切る。
彼はいまだによくわからない部分が多い。
蒼さんに向かって、やっぱり「なんだこいつ」と言いたくなった。
「そろそろ頑張るかー…」
来年は中学三年生で受験生だし、受験生活の時にするであろう長時間勉強の練習も兼ねて勉強する体力をつけておこうと思い、今も塾に向かっている。
バスに乗っている間は英単語帳を見つめて、少しでも頭の中に入れようとする。
バスが塾前のバス停につくと、今日も頑張りますか!と心の中で唱える。
前向きな気持ちをエンジンにしている気持ちで伸びをして、私は塾に入っていった。
塾で予習していたので、どの教科もわからない部分はなかったので安心する。
三時間目の数学が終わり、教科書とノートを片付け始める。
「なんこれ、全くわかんない」
蒼さんは昨日と同じように笑っていて、勉強ができないことに対して全く危機感がないようだった。
私はそんな姿を見て、ある意味羨ましいなと皮肉を心の中で呟く。
「私もわかんない。翠ならわかるでしょ?」
由奈が私に話を振る。
またこの話だ。
ため息が出そうになる。
由奈たちもきっと、悪気はないということはわかっているが、それでもイラッとしてしまう。
「わかるけど、説明できないかも」
私は笑って誤魔化す。
まだ新しい班になってから時間も経っていないので、班のメンバーやクラスのみんなに悪い印象は与えたくない。
「わかるんなら説明できるでしょー。だって、翠さんって天才でしょ?」
蒼さんがそんなことを言う。
天才、という言葉に私の中で何かが音を立てて引っ掛かる。
私は思わず言い返した。
「私だって天才じゃないんだから、ちょっとは自分で考えてみたらどう?」
勝手に感情がこもってしまって、思っていたよりも冷たく尖った声が出た。
やってしまったと思ったが、言い直そうという感情は湧かなかった。
幸い、他のクラスメイトの耳には届いていなかったようなので、私はほっと胸を撫で下ろした。
私の声に驚いたのか、由奈が驚いたように目を見開き、一瞬の沈黙が流れた。
「まあ、そうだよね」
そんな沈黙を破ったのは、蒼さんだった。
「天才の俺がわかんないなら、しゃーないか」
よくわからない回答をして、その話は終わった。
楽しい雰囲気を壊してしまって由奈には申し訳ないことをしたなと思いながら、自分の席で次の授業の準備をする。
次の国語の授業では、さっきのことなどなかったように楽しげに話をしていた。
「昨日のテレビがさ…」
「昨日野球の練習でさ…」
また関係のない話をしていると思いながら、自分は目の前の黒板に集中する。
高校進学は親に急かされて意外と本気ではあるので、内申点を下手に落とすわけにはいかないのだ。
今日もまた、早く帰りたいということばかりを考えて、時計を何度も何度も見ていた。
次の日からの授業も、蒼さんは自分のことばかりを話していた。
授業に関係のないことを話したり、自分の自慢話をしたり。
なんだこいつ、と思いながらも、一応聞いてはいた。
どうやら、由奈と蒼さんは意気投合したようで、休み時間もいつも話していた。
2人の仲良しを観察しながら過ごすこと二ヶ月。
蒼さんとはタメ口で程度では話せるようになり、勉強も最低限は教えてあげるようになった。
最初は教えてもまともに聞いてくれなかったのだが、好きな教科なら素直に飲み込んで実行してくれるようになった。
でもやっぱり、彼は自分のことばかりだ。
自分のタイミングで聞いてきて、嫌いな教科の問題はわからなければ即放棄。
いまだになんだこいつ、と思わせてくる。
もうすぐ夏休みなので、しばらくは話さなくてもいいかもと思って、気が楽になった。
と思ったが、私はこの後、それが大間違いだったということに気付かされるのだった。
夏休みに入ると、毎日蒼さんから連絡が来た。それも一日に何度も。
「今日何時間勉強した?」
「今日は3時間やった!すごくね?」
「俺、夏休み勉強ガチるわ!」
「夏休みの勉強時間の合計、競争しよう!」
毎日勉強に関する話が送られてきて、勉強していないと嘘偽りの答えを送らなければいけなくなるので、私も毎日のように勉強をした。
どうせ蒼さんは勉強していないんだろうけど、夏休み明けのテストであっと言わせてやろうと思い、私はさらに燃えた。
塾に行く回数が増え、やる気が起きなかった毎日から抜け出した。
夏休みが半分ほど終わった頃、由奈から一件の通知が来ていた。
「蒼さんって、なんか勉強頑張ってるっぽいね。ちょっと焦りかも(笑)」
蒼さんは連絡するだけしているのかと思っていたから、そのメッセージは私を驚かせた。
「そうなの?口先だけっていうか、メールだけかと思ってた」
本音を送って電源を切る。
彼はいまだによくわからない部分が多い。
蒼さんに向かって、やっぱり「なんだこいつ」と言いたくなった。
「そろそろ頑張るかー…」
来年は中学三年生で受験生だし、受験生活の時にするであろう長時間勉強の練習も兼ねて勉強する体力をつけておこうと思い、今も塾に向かっている。
バスに乗っている間は英単語帳を見つめて、少しでも頭の中に入れようとする。
バスが塾前のバス停につくと、今日も頑張りますか!と心の中で唱える。
前向きな気持ちをエンジンにしている気持ちで伸びをして、私は塾に入っていった。
