彼は困惑し、空いている指を折り曲げながら、必死に考え始めました。
そしてラビーネの姿を見て「ああっ」と、納得をしてしまいます。
(今日は、あの日だったか? お菓子を捧げるべき、聖なる日だったか……?)
その隙に、風がそっと、ラビーネの赤い髪を揺らしました。
けれど、幸福な夢は、いつだって蝶の羽ばたきよりも短く、儚いものです。
暖かい陽だまりの中、一羽の蝶がひらひらとラビーネの鼻先を横切りました。
その羽の模様が、騎士ブラウンに非情な現実を突きつけます。
「今は、お菓子をもらい喜ぶ十月の夜ではない。芽吹きの春なのだ。おのれ、浅ましい魔物め。私をたぶらかそうとしたな」
騎士の目が、冷たい鋼の色に染まりました。
「きゃあ! このままじゃ、私の物語がここで終わってしまうわ。ネバーエンデイング、ストリー」
ラビーネは悲鳴を上げ、身をすくめました。再び振り上げられた剣が、太陽の光を凶器に変えて、彼女の蒼い肌を切り裂こうとしたその時です。
「おやめなさい、ブラウン。……剣を収めるのです」
それは、天から降る柔らかな光のような声でした。
リノス王子が、見えない瞳をゆっくりとこちらへ向けたのです。
そしてラビーネの姿を見て「ああっ」と、納得をしてしまいます。
(今日は、あの日だったか? お菓子を捧げるべき、聖なる日だったか……?)
その隙に、風がそっと、ラビーネの赤い髪を揺らしました。
けれど、幸福な夢は、いつだって蝶の羽ばたきよりも短く、儚いものです。
暖かい陽だまりの中、一羽の蝶がひらひらとラビーネの鼻先を横切りました。
その羽の模様が、騎士ブラウンに非情な現実を突きつけます。
「今は、お菓子をもらい喜ぶ十月の夜ではない。芽吹きの春なのだ。おのれ、浅ましい魔物め。私をたぶらかそうとしたな」
騎士の目が、冷たい鋼の色に染まりました。
「きゃあ! このままじゃ、私の物語がここで終わってしまうわ。ネバーエンデイング、ストリー」
ラビーネは悲鳴を上げ、身をすくめました。再び振り上げられた剣が、太陽の光を凶器に変えて、彼女の蒼い肌を切り裂こうとしたその時です。
「おやめなさい、ブラウン。……剣を収めるのです」
それは、天から降る柔らかな光のような声でした。
リノス王子が、見えない瞳をゆっくりとこちらへ向けたのです。



