魔族の娘と盲目の王子

「ええ。三つだけ、あなたの鏡に力を込めましょう。さあ、まず一つ目の願いを言いなさい」

「はい。一つ目の願いは……そう、あの日差しが溢れる世界へ行かせてください」

 アフディーは足元が悪いからと、ひとまずホタテから降りました「うんしょ」
 そして目を閉じると、その体から眩いばかりの光が放たれました。
 いにしえの呪文を唱えます。

「はぁーっ、ウホマイシラバスハレコ!」

  その瞬間、ラビーネの体は光の渦に溶け、深い闇の底から吸い上げられていきました。

「あれーっ」

  光の中、女神アフディーの声が響きます。

「いいですかラビーネ。残りの願いは、あと二つ。人間界は恐ろしい場所。戻るための最後の魔法は、残しておくのよ」

  朧げに聞こえる声と、暖かな日差しに目を覚ますと、そこは夢にまで見た、花々の香る草原でした。

「なんて素敵……。ここが、本当の、光の国なのね」

  初めて踏み締める大地。それは、あの洞窟に敷き詰めたビニールタイルの床より、ずっと心地のいいものでした。 頬にあたる初めての風を、体全体で受け止めます。

「お部屋の消臭剤より、いい匂い……」

 彼女は嬉しくて、ついには歌い始めました。