魔族の娘と盲目の王子

 その問いかけに、ラビーネは溢れそうになる涙を必死にこらえ、震える声で答えました。

「……私の目に映るあなたは、あまりにも眩しく、清らかな光そのものです。たとえ世界がどれほど深く暗い夜に包まれても、あなただけは、決して清らかな光を灯続けるでしょう……」

 ラビーネは、自分を包む王子の手の温もりを、一生の宝物を抱くように握りしめました。

「王子様、……私はずっと、暗闇を寂しいだけの場所だと思ってきました。けれど、今は違います。姿も、肌の色も関係ないこの闇は、あなたと私の心を繋いでくれる……世界で一番優しいカーテンなのですね」

(いいえ、王子様。本当は、私こそがあなたを汚す『災い』なのかもしれません。このカーテンは、私の醜さを隠すための『嘘』で編まれているのだから。それでも……今はただ、この温かな光のそばにいたいのです)

 ラビーネの胸には、また別の、熱く不思議な感情が溢れかえりました。それは恋という名を知らぬ、けれど何よりも強固な「誓い」でした。

 悲しき沈黙が二人を包み込もうとした、まさにその時でした。 穏やかだった夜の闇が、不自然なほど禍々しい赤色に染まり始めたのです。

「火だ! 森が燃えている!」

 卑劣な追手たちが放った火は、まるで地獄の底から這い出してきた赤い蛇のように、愛すべき森を飲み込んでいきました。