とにかく俺たちは廊下を走り、階段を駆け上がり、角を曲がり、猫を追いかけた。今までで一番長い追跡である。
俺もこれが最後の作戦だということで妙にやる気が出ていた。
体力はもうほぼほぼ尽きているというのに、なんだか走り続けることができるような錯覚におちいる――この時点でもうどこかの領域にいるということか?
「そういえばさ、猫にネコって名前つけるのって、人間にニンゲンって名前つけるのと同じだよね」
途中、水瀬がこんなことを言ってきたが、知るかよ、真面目に走れ!
でもそうかもしれん。俺が猫の立場だったら嫌だけどな、そんな名前つけられるの。
校長はどういう心理でこんな名前をつけたんだろう……。
「――お、おい悠! しっかりしろ! 気を確かに!」
なんだか、頭がふわふわして足元がぐらぐらする……。
結論から言うと、もうとっくのとうに体力の限界を通りすぎていたらしい。


