ネコという名前の猫はくるりと華麗なターンをして廊下を駆けていく。
どんどん距離が離れていくが、右の階段を下りていくのが見えた。
「水瀬、右! 三階!」
「オッケー!」
水瀬においていかれないように必死で走りながら、階段の踊り場にある鏡をチェックする。
猫は、三階の廊下を左に曲がっていた。
「次、左!」
叫びながら、周囲からたくさんの視線を浴びていることに気付いた。
その視線は様々で、なんだか――居心地が悪い。
これだったら引き受けなければよかったな、なんて後悔していたら、水瀬が足を止めていた。
「ごめん、見失った……」
「そ、そうか……わか、った……」
俺と水瀬は壁にもたれかかる。
「そうだ、俺『校長室』って聞いたときからずっと思ってたんだけどさ、運命的だよな、これ」
「……なにが……運命、的、だよ」
息が上がりすぎてまともに返事ができないが、これは日頃の運動不足の積み重ねか?


