水瀬は文句をつけているが、俺はこんな生活が好きだったりもしたんだぞ?
代わり映えと引き換えに、俺の理想である『平穏』が手に入っていたんだからな。
「じゃあ、今はどう? 楽しい?」
卵焼きを頬張りながら水瀬が言う。
俺は少し悩んでから、「やることが増えたのはたしかだよ」と返す。
「俺は『平穏』が好きだったんだよ。今は今でいいところもあるけどさ」
弁当を片付け終えると、ようやく食べ終わった水瀬も片付け始める。
その水瀬を見ながら言ってみた。
「俺の平穏は誰かさんのせいで失われたにも等しいんだが……な、水瀬」
「要するに、悠は自分の『平穏』を俺に賭けてくれたってことだろ? だから俺は責任を取る必要があると」
「……そうだな……?」
「よし、決めた! 俺、悠が賭けてくれた分、責任とっていろいろしようと思う!」
「変な方向に行くな、待て」
「んー、手始めに生活指導のおっちゃんにいたずら、かましに行く?」
「なんか懐かしいな。……うわっ、マジ引っ張るな、やめろ……!」



