「……なあ水瀬、お前なんで俺に怒られてたか分かってるか?」
「分かってるって。俺が炭酸のキャップ閉めなかったからだろ?」
違えよ、お前が風紀委員室の鍵閉めなかったからだ!
「俺がしてるのは炭酸のキャップの話じゃなくて、風紀委員室の鍵の話! この前閉めなかっただろ、お前!」
「マジ!? 俺さ、炭酸のせいだと思っておわびに買ってきたんだよ、これ。学校の自販機になかったから昼休みに学校抜けてこっそり買いに行ったんだよな」
「そうかよ……」
手渡されたペットボトルを受け取りながら、炭酸に関する記憶を掘り起こす。
……たしかに昨日、記録を書いている間に飲んだような記憶があるが、さすがに「キャップ閉めといて」なんてことを頼んだりはしない。完全に誤解、すれ違いだ。
やっぱりこいつは少し、いやかなりずれている。
相変わらずの理解力と勘違い力を兼ね備えていて、それが水瀬の特徴であり俺をイラッとさせるポイントであるのだが、今回ばかりはなぜか安堵が襲ってきて、イラッとはしなかった。



