君となら地獄を見たい


わたしは社長室の本棚裏にある隠し扉から秘密の通路を通ると、エレベーターに乗り、地下深くまで下りて行った。

そして監視室があるB8で降りると、そのまま真っ直ぐに進み、鉄で出来た分厚い自動ドアを抜け、監視カメラの映像がたくさん並ぶ暗い大樹さんの監視室までやって来た。

「お疲れ様です。」

わたしは監視カメラの映像がたくさん並ぶ目の前の椅子に一人ぽつりと座る大樹さんに声を掛けた。

大樹さんはふとこちらを振り向くと、低い声で「お疲れ。」と言った。

目が隠れる程の長い前髪にパーマがかかった髪型で、口数が少なくミステリアスな雰囲気の大樹さん。
大樹さんが歩いている姿をほとんど見た事はないが、立ち上がると188センチもある長身の持ち主だ。

「ボスから指令です。」

わたしはそう言って、大樹さんが座る椅子の横まで歩み寄って行った。
そして、たくさんある監視カメラ映像の中から赤坂大臣を見つけ、その映像を指差した。

「赤坂大臣を監視するようにとの指示です。」
「こいつか。随分とだらしない身体だな。」
「ボスは"トロール"と言ってました。」
「まさにだな。」
「この"トロール"は、ボスに"山野首相の暗殺"の依頼をしに来ました。」
「ほう。」
「ボスが断ると、怒り狂って帰って行きました。次は何をしてくるか分かりません。少しでも怪しい動きが見られれば、刃牙さんに摘んでもらうようにとの事です。」

わたしがそう言うと、大樹さんは椅子の肘掛けに頬杖をつき「了解。」と言った。

「じゃあ、あとはよろしくお願いします。」

わたしはそう言って大樹さんに一礼をすると、エレベーターに乗り、再び社長室へと戻った。

メンバー間の伝達は、基本的に口頭で文面には残さないようにしている。
重大ミッションの時は大樹さんが開発した"ミクロマイク"で連絡を取り合う事もあるが、口頭にこだわるのにはボスの経験を活かしての事だった。