君となら地獄を見たい


赤坂大臣の言葉に不穏な空気が社長室に漂う。

すると三浪社長は、「···ははっ、はははは!」と笑い出し、そんな三浪社長に赤坂大臣は驚くと共にしかめっ面で三浪社長に「何がおかしい!」と声を荒げた。

「赤坂大臣は面白い御方ですね。」
「な、何ぃ?!」
「わたしはただの電機メーカーの社長ですよ?そんな殺人兵器などは作っておりません。」
「そんな事を言っても、俺は知ってるんだぞ!君が殺し屋だって事をな!」

三浪社長を指差しながらそう言う赤坂大臣は、興奮状態で顔を真っ赤にしていた。

しかし、三浪社長は至って冷静で「僕が殺し屋?それは、どこからの情報なんですか?」と落ち着いた様子で言った。

「そ、それは······」
「どちらでそのような話を聞いたのかは存じ上げませんが、大変申し訳ございません。何せ、僕は殺し屋ではなく、ただの電機メーカーの社長なもので、そのようなお手伝いは出来かねます。」

淡々と話す三浪社長の言葉に赤坂大臣は今にも頭から噴火しそうな程の怒りを露わにすると、「このぉ、馬鹿にしおって!!!」と立ち上がり、横柄な態度で社長室の扉を開けると、思い切り扉を閉めて出て行ってしまった。

その後ろ姿を微笑ましく見送った三浪社長は、突然スンとした表情になると、「なっちゃん。」とわたしを呼んだ。

「はい、社長。」
「トロールを見張るように大樹(たいじゅ)に連絡して。」
「承知しました。」
「もし少しでも不審な動きをするようなら、相手が動き出す前に摘んでしまっていいよ。」
「誰に摘ませますか?」
「そうだなぁ···、刃牙(ばき)に頼もうか。」
「分かりました。」

わたしは三浪社長からの指示を受けると、すぐに行動に移した。

まず、三浪社長の言う"トロール"とは、赤坂大臣の事だ。
三浪社長はターゲットをモンスターの名前で呼ぶ事が多い。

それから"大樹"とは、"ロスト·ダガー"のメンバー、コードネーム"葉隠大樹(はがくれ たいじゅ)"の事である。
大樹さんの役割は基本的にターゲットの監視役と、GPSや盗聴器などの設置、製作など。

"摘む"という用語については、"暗殺"を意味しており、今回その役目を担うのは、コードネーム"群鮫刃牙(むらさめ ばき)"。
刃牙さんは鍛え抜かれた肉体を持つ武闘家だ。