君となら地獄を見たい


それから先に食事を始めたボスと共に、わたしは火鷹の傷の手当ての準備をしながら食事をした。
15分程経つと、上半身裸にスウェット姿の火鷹が戻って来て、わたしの隣に腰を掛けた。

「傷は顔だけ?」

わたしはそう訊きながら、火鷹の頬についた傷に解毒効果がある傷薬を塗った。
火鷹は「あぁ。」と返事をしてわたしに大人しく手当てをさせる。
最後に絆創膏を貼ってあげて「はい、いいよ。」とわたしが言うと、火鷹は「さんきゅっ。」と言い、ソファーから立ち上がった。

「絆創膏、かっちょいいなぁ〜!」

ボスがふざけながらそう言うと、火鷹は「だろ?」と言いながらキッチンに入り、ビーフシチューを食べる準備をし始めた。

その時、大樹さんに夕飯を届けに行っていた一閃くんが戻って来て、火鷹に気付くと「あ!火鷹さん!おかえりなさい!」と明るい表情で言った。

「おう。」
「あれ?火鷹さん、傷ですか?珍しいですね。」
「大したことねーよ。」
「射生さんに手当てしてもらったんですね!射生さんの薬は最強ですから、すぐ治りますよ!」

そう言って、ビーフシチューをお皿によそう火鷹の隣に立つ一閃くんは、「俺も一緒に食ーべよ!」と言って、お皿持ちながら順番待ちしていた。

「あ、そうだ。一閃。大樹、何か言ってなかったか?」

ガーリックトーストを噛じりながらボスがそう訊くと、一閃くんは「あ、そう言えば、」と何かを思い出したように言った。

「"トロール"がこん棒を担ぎそうだからって、刃牙さんに連絡するって言ってました。」

一閃くんの言葉にボスとわたしは顔を見合わせた。

「あのトロール、一見ノロそうなくせして、手は早かったか。」
「明日のニュースに出そうですね。」

ボスとわたしがそう話していると、ビーフシチューをお皿によそった火鷹が戻って来て、わたしの隣に腰を下ろした。
そして、「まぁ、刃牙さんなら仕事早いから、今夜の速報にでも出るかもしれないぞ。」と言った。

「はぁ〜、お腹空いた!皆さん、ガーリックトーストまだありますからね!あと、ポテトサラダも!」

そう言いながら、わたしたちの輪に入り、食事を始める一閃くん。

「このガーリックトーストうめぇ!」
「わたしポテトサラダもらおうかな。」
「どうぞどうぞ!」

そんな会話をしながらテーブルを囲み、食事をするわたしたち。
こんな穏やかな時間は、わたしたちにとっては貴重な時間だ。

そしてその日の夜。
火鷹の言った通り、ニュース速報で『法務大臣の赤坂大臣 事故死』とテレビに流れ、世間は大騒ぎとなった。