部屋を片付けている最中。
誰かに見つけてほしいかのようにソレはクローゼットの片隅で埃をかぶり寂しげに置かれていた。
クッキーとかの詰め合わせがよく入っているただの四角い缶。
右手に掃除用の手袋をはめて缶の埃を静かに払う。
よく見てみないとわからないようなうっすらとした字で何かが書かれている。

自分はあまり目が良い方じゃない。
それに、いくら他人でないとはいえ。
自分の物以外の物を見るのは流石に気が引けた。
せめて缶に書かれている文字だけでも。
そう思い、机の上に置いておいた眼鏡をかけ、先ほどの缶に書かれていた文字を一文字ずつ読み上げた。

「L・・・O・・・V・・・」